ここには

壁があってはいけない
壁ができてはいけない
壁はいけない

すべての断絶が　かべ
こころの不協和音が　かべ
あなたを悲しくさせて
苦しめるのも　かべ

だいなしにする
つみあげた信頼をかべが遮さえぎる

あなたがあなたでなくなることさえ、ある

だから壁にぶち当たるな

かべのむこうの人をみることができないのも
不信で不可思議な社会が負荷をかけ
不自然な不毛の地に積み上げられた不穏なかべが
634mどころではない心地よさげな高さで
あなたの目の前にそびえ立っていることが
その理由だ

壊してみればなんのことはない
あなたやあなたと同じように
そこには人がいる

その恐ろしく高い見上げる壁の向こうにも
なんのことはない、人がいる

打ち砕くつるはしとハンマーは
対話と理解

かべの残土は無惨な汗と汗　涙と涙
協力してとりのぞく

見通しのよい大地に風吹きわたり
壁がなくなり陰がなくなり
お日さまがよろこぶ

彼岸花の葬送曲
残土でできたあぜ道に秋の気配

乗り越えられないのなら

まわり道してでもいい

かべだと思うなら