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自己保健義務を果たさない従業員の行く末

(1)昔から抱えていた「心因性のもの」

1人目はかかりつけ医の診断書に休業3か月間の意見が付されているが、本人はどこ吹く風で「こんなものは意味がない」と言って、まったく休養する意思がなく、業務命令を発しても勝手に出勤してしまう。同僚が「業務はなんとかしますから休んでください」と言っても聞く耳をもたない。
この従業員は、少し前に道端でぶっ倒れて救急搬送されたことを忘れてしまったようだ。

そこで、会社は本人の同意を得てかかりつけ医に、健康状態と今後の就労可否ついてアドバイスを求めたところ、就労は絶対禁止、ひとまず3か月間療養を要するとのことだったので、産業医を含めて判断した結果、休職命令を出すことにした。

しかしながら休職命令にも従うことなく出勤を続けたため、入場禁止命令も発出したあたりで、再度体調を不良で、再び倒れてしまう。

ここまでの経緯と本人の言動は、完璧なまでに議事録にまとめた。

(2)「1型糖尿病」
糖尿病については徹底的に調べたことがある。
糖尿病と仕事の両立に関してではなく、糖尿病そのものについてだ。
簡単すぎるほど簡単にいえば、高血糖はもちろんとして、一番危険なのは低血糖だ。
日々の血糖コントロールができているなら就労には何ら問題はない。
血糖不安定が続く場合は、それなりに注意が必要で就労にも制限がかかることもあるが、私自身はこのような方にお会いしたことがない。(みんなきちんと管理しているから。)

今回は、自ら積極的に血糖コントロールしようともせず、長年ほったらかし状態、定期的な医療機関の受診もせず、血糖値測定器は付けているものの形だけでスイッチを切り何も管理していない、業務の合間に穿刺もしていない、という事例。
そんな状態でついに業務中ふらついたと思った途端、意識を失って倒れる。
会社は、必要な箇所にブドウ糖、アメ、ラムネなどを配置し、本人の了承を得て事前に各部署長に当該従業員の病状を伝えており、違和感を感じたときはすぐさま対応方をマニュアル化していた。
本人にも、業務中体調不良と感じるときは、遠慮なく業務を止め必要な対応を取るか、ヘルプを求めるように指示していた。

ところが、周りの協力体制をよそに、本人自体が血糖コントロールに無関心であるため先ほどのように意思を失って倒れてしまう。命に関わることなので、改めて本人と面談をして今後の対応を話しあい、、従業員の健康を守る立場から以下を条件に雇用を継続するものとし、守らない場合は退職を勧奨しなければならない旨伝えた。

・血糖値測定器の常時作動。
・血糖値測定器の異常を示すときは業務を離れ、ブドウ糖、ジュース、ラムネなどを口にして最低15分以上経過させ、血糖値が80以上に回復後、業務復帰。
・ブドウ糖、ジュース、ラムネなどを常時携帯(あるいは近くに常備)OK。
・受診命令、帰宅命令は業務命令であり、安全配慮優先から必ず従うこと。
・半年に1回ほど診断書を提出し健康状態と就業継続の可否を会社に仰ぐこと。
・病状により勤務体制の変更がありうること。
・人材、資質、能力に適するよう励むこと。

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