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面接、「あなたは今、妊娠していますか??」

(職業安定法第5条の4)
公共職業安定所、特定地方公共団体、職業紹介事業者及び求人者、労働者の募集を行う者及び募集受託者並びに労働者供給事業者及び労働者供給を受けようとする者(次項において「公共職業安定所等」という。)は、それぞれ、その業務に関し、求職者、募集に応じて労働者になろうとする者又は供給される労働者の個人情報(以下この条において「求職者等の個人情報」という。)を収集し、保管し、又は使用するに当たっては、その業務の目的の達成に必要な範囲内で求職者等の個人情報を収集し、並びに当該収集の目的の範囲内でこれを保管し、及び使用しなければならない。ただし、本人の同意がある場合その他正当な事由がある場合は、この限りではない。

これを受け同法指針では、以下の個人情報の収集を原則に認めていない。

1.人種、民族、社会的身分、門地、本籍、出生地その他社会的差別の原因となるおそれのある事項
  ≪具体的には≫
 ・ 家族の職業、収入、本人の資産等の情報
 ・ 容姿、スリーサイズ等差別的評価につながる情報等
2.思想及び信条
  ≪具体的には≫ 
 ・ 人生観、生活信条、支持政党、購読新聞・雑誌、愛読書等
3.労働組合への加入状況
  ≪具体的には≫
 ・ 労働運動、学生運動、消費者運動その他社会運動に関する情報 等

違反行為をした場合は、職業安定法に基づく改善命令を発出する場合があり、改善命令に違反した場合は、罰則(6か月以下の懲役又は30万円以下の罰金)が科せられる場合もある。
ただし、特別な職業上の必要性が存在することその他業務の目的の達成に必要不可欠であって、収集目的を示して本人から収集する場合はこの限りでないこと、としている。

次は厚生労働省「公正な採用選考を目ざして」。
・本人に責任のない事項の質問(本籍・出生地、家族、住宅状況、生活環境・家庭環境)
・本来自由であるべき事項の質問(宗教、支持政党、人生観、生活信条、尊敬する人物、思想、労働組合・学生運動の社会運動、購読新聞、雑誌・愛読書)
・不適切な選考方法(身元調査の実施、本人の適正・能力に関係のない事項を含んだ応募書類(社用紙)の使用、合理的・客観的必要性が認められない健康診断の実施)

これらは、就職差別につながる主な項目として列挙されている。

最後は均等法。10条から「労働者に対する性別を理由とする差別の禁止等に関する規定に定める事項に関し、事業主が適切に対処するための指針(27.11.30)」において、

採用選考において、能力及び資質の有無等を判断する場合に、その方法や基準について男女で異なる取扱いをすること。
(異なる取扱いをしていると認められる例)
1 募集又は採用に当たって実施する筆記試験や面接試験の合格基準を男女で異なるものとすること。
2 男女で異なる採用試験を実施すること。
3 男女のいずれかについてのみ、採用試験を実施すること。
4 採用面接に際して、結婚の予定の有無、子供が生まれた場合の継続就労の希望の有無等一定の事項について女性に対してのみ質問すること。

4は、男女双方に質問した場合には、法には違反しないものであるが、もとより、応募者の適正・能力を基準とした公正な採用選考を実施するという観点からは、募集・採用にあたってこのような質問をすること自体望ましくないものであること、という行政解釈がなされている。

ここまでくると、面接時に妊娠しているかどうか(その後に妊娠した場合まで問わない)問うことが不適切とはどこにも書かれていない。だからと言って、全く問題ないですよというつもりもない。

行き着くところは、女性限定での質問であることから「均等法違反になるおそれ」「〇〇ハラスメントに該当する可能性」という範疇であろう。

事業所は、即戦力、代替要員、欠員補充などいろいろな想いを持って採用活動をするわけで、面接時点で妊娠しているならそれを告知してほしいところではある。しかし、応募者に告知義務などないし、自ら積極的に不利な情報を話す人はいないだろうし義務もない。問われない限り答えようがないのだ。

面接時、「あなたは今、妊娠していますか??」

現状では聴き取りする理由を明らかにして、または問われた時は明らかにすることで訊ねるほかないだろう。


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