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日本ヒューレット・パッカード事件①(平成22年6月11日東京地裁)

概要

会社と雇用契約を締結して労務を提供し、諭旨退職処分を受けた精神疾患罹患中の従業員が、会社に対し、雇用契約上の権利を有する地位の確認を求め、雇用契約に基づく賃金支払請求権に基づいて、賃金等の支払等を求めた。

結論

一部棄却、一部却下

判旨

何者かに監視されており、会社の従業員らもこれに加担しているとして出勤を拒否した労働者に、欠勤を継続する正当あるいはやむを得ない理由は存在せず、会社は、欠勤を認めない旨を業務命令権の行使として明確に伝え、あるいは出勤を促すなどしていたことを十分認識していたのに、従業員は欠勤を継続しており、就業規則に定める休業の手続を履践した事実もないから、形式的にも実質的にも、「無断欠勤」に該当し、従業員には就業規則上の懲戒事由が存在する。

従業員の、何者かに嫌がらせを受けているという理由による欠勤は職場放棄ともいうべきものであり、債務不履行の態様として悪質であること、業務命令に違反して欠勤を継続したこと、複数の上司あるいは管理職に人事上の措置を求め、会社がこれらに対応することを余儀なくされたこと、その欠勤が職場秩序を著しく乱したことは明らかで、会社の対応に信義に反する点があったとも認められないから、その諭旨退職処分は社会的に相当な範囲にとどまるものと認められる。

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