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『ロッキー』と「王道」

トップ画像を観ていただくだけで、脳内で流れ出すかもしれない。

「ロッキーのテーマ曲」

この文字列を目にしただけで、トランペットのファンファーレから始まる音が頭のなかで流れ出すかもしれない。上みたいに「パ」と「ン」と表現しただけで音楽が湧いてくるような、一瞬にして強烈に脳内に焼き付けられるテーマ曲は、ほかにどれほどあるだろう。

映画を知らない人でも、小学校のとき、リコーダーで吹いてみたりしたこともあるだろう、もはや人類の集合的無意識に刷り込まれているこの曲には歌詞が実はついていて、タイトルは "Gonna Fly Now" という。

あまりに有名な曲のため、ちょっと斜に構えがちな中途半端なシネフィルである私などは「ベタすぎる」とやや軽く見ていた節があった。どーせあの曲でしょ、くらいに。

しかし、年を重ねたからか、最近耳にする機会が何度かあって、その素晴らしさがじんわりと理解できるようになってきた。

さて。もともとの音楽は、ロッキーが選手生命をかけた試合に向けて努力をするモンタージュ(単純に「編集されたもの」という意味もあるが、ここでは「一定時間のスパンにおいて一連の過程をみせるためのつながった映像」という用法でご理解いただきたい)

久しぶりに聞いてその面白さを感じたのは、主旋律ではなく、そのまわりの和音や、ベース音の進行の複雑さだ。

Dm7 → CM7 → Dm7 → Em7 → FM7 → Esus

という展開の美しさにはうっとりするばかりだ。

シンプルでいて複雑、一部が全体を支え、全体が一部を引き立てる。そして、聴いたものを魅了し、この曲ではとくに気分を盛り上げる。ジムでワークアウトするときにこの音楽を聴くと、あと5kgは重いウェイトを持ち上げられるだろうし、あと2分は走り続けることができるだろう。

そんな王道にして最強の曲が、このロッキーのテーマだ。

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三谷 匠衡|Kanehira Mitani

1988年ウィーン生まれ。東大からUSC、『沈黙-サイレンス-』『ゴースト・イン・ザ・シェル』などハリウッド映画での制作スタッフを経て、映画プロデューサーの卵として奮闘。note / COURRIER JAPON にて連載中。
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