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失って気付くホントの価値。愛犬が教えてくれたこと。後悔しないうちにやっておこう。 Vol.65

幼い頃パグ犬とともに暮らしていた。女の子で名前は「モコ」。 
モコは私が小学4年ぐらいのときにわが家へやってきた。モコのことを考えると色々な思いがよみがえってくる。

若い頃の元気に走り回る姿。家族のクツをくわえて逃げる姿。カミナリにおびえてブルブルと小刻みに体を震わせる姿。台風がくると決まって靴箱の下に隠れて身動きを取らなくなったり…。

犬の寿命は人間より短い。別れの時はやってくる。私が二十歳くらいの頃だった。
モコは天国へと旅立って行った。
最期は口の中の腫瘍が顔の外にまで出てきて、見ているのも辛かった。

小さな体で病と戦う姿は、私がはじめて死を身近で感じ、死を考えさせられるはじめての経験になった。

以前40歳過ぎの男性がテレビのインタビューを受けていた。男性は1人で一軒家に住む。離婚をしていて奥さんと2人の子は家を出て行ったと言う。

男性は子供が幼稚園の時に書いた絵をリビングに飾っている。男性を含め家族4人、笑顔で楽しそうな雰囲気が伝わってくる。彼はその絵を見ながらお酒を飲む。

離婚の原因は何だったのか?
男性は妻に対して多くを求めすぎていた。彼はマジメで几帳面な性格。片付けや掃除にとどまらない。
また、仕事で忙しい彼はたまに家にいると、大きな声で威圧的な態度をとる。
なんでこんなこともできないんだ!と

この男性は寂しいと言う。人恋しい。画面越しに見ていても、とても寂しそうに見えた。この日も友人達と飲んでいたそうだ。

人間はどうしても忘れてしまう。大事なものは失ってから気づく。私は愚かものなのですぐにそのことを忘れる。この40代の彼を見てあらためて気付かされた。

本当に大切なものは、
すぐそこにあるもの。
あって当たり前のもの。
だから、普段は大切にしていない。

家族、友達、健康、お金で買えるものではないことが多い。

そして私たちは本当に土壇場になり、追い詰められないと気づかないものがある。
今も失い続けているのに気付いていない。

そう時間だ。

やりたくもないこと、イヤイヤやっているのは時間をムダにしている=
時間を失っていることと同じだ。

しかし、それにすら気づかずに私たちは毎日を過ごしている。そして期限を告げられると途端に焦りだすのだ。

私はモコが死んだ日に知る。
自分や兄が欲しいと言って飼ったはずの「モコ」なのに、ほとんどの世話を父や母に任せた 。
もう何年も何年もモコの散歩には行っていなかった。いっしょに遊んでいなかった。
自分の気が向いた時にじゃれただけ。

私はモコが死んだ夜、火が消えないように線香をあげ続けた。朝がくるまで火を絶やさなかった。結局は自分の自己満足でしかないんだけど、モコに対するせめてもの愛情だった。

今でも家族が集まるとモコの話題になる。
頭の中のモコは、元気に元気に走り回っている。そう、彼女が私に教えてくれたことはとてもとても大きい。
その小さな小さな体で私に大切なことを教えてくれた。
ありがとうね。そして、またおしえてね。


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