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評価制度は必要なのか

ある程度の規模になると人事制度に能力評価や業績評価といった評価を取り入れている企業が多いと思います。
数年前の実務補習でも診断先から評価制度の新設について助言を求められたことがありました。
助言の方向性について補習メンバで話し合っていた時に出た「評価制度は不要、賃金は一律で良い
という意見を思い出す機会が最近増えました。

評価制度のある会社に入ると「目標管理」や「成果に応じた報酬」の意義について教育を受けることが多いかもしれません。報酬と連動する評価制度の意義を刷り込まれていると、報酬には差が必要で、賃金が一律では人事制度が成り立たないような気がしてしまいます。
そのため、一律賃金と言われると条件反射的に、高業績の社員が処遇に納得できずにモチベーションを下げてしまう。といった反対意見が聞こえてきそうです。
ですが、企業内は分業化されているため、他の社員からの支援がなければ、高業績はあげられなかったかもしれません。

私の勤務先がシステムインテグレータなので特殊なのかもしれませんが、
社員が類似の仕事をすることが少なく、社員間で業績の優劣をつけるのが難しくなっています。
それでも優劣をつけるために評価指標を細かく設定すると、評価者の作業量が増える割に、思ったほど被評価者の納得感が得られないという状況が見受けられます。
評価者と被評価者で異なる仕事の見え方や成果に対する考え方を上手く説明できないことも一因ですが、それよりも、評価者の匙加減で評価が変わってしまう曖昧さ(システマティックに評価されない)ことに納得できないようです。

無垢な新入社員と接する機会が増えたから特に感じるのかもしれませんが、
入社時点では、皆やる気に満ちていて、会社への貢献意欲があふれ出ています。
ところが、数年もするとモチベーションが低下している方が見受けられるようになります。
評価制度が原因の全てではありませんが、目標管理や評価が上手く機能していません。むしろ、評価の優劣をつけることで低パフォーマンス社員や離職者を生み出しているという側面があるようにすら感じます。

社会全体が低成長期だった20~30年前であれば、
「低パフォーマンス社員の処遇を低く抑えて、高パフォーマンス社員を優遇する」という名目でのコストカットが経営上の目的ともマッチしていたのかもしれません。

ですが、人手不足の現代日本では、むしろ低パフォーマンス社員や離職者を生み出さないことが必要です。
そもそも評価制度は発展途上で、360度評価やノーレイティングなど新たな手法は登場しているものの、これさえ導入すれば全てが上手くいくという万能な仕組みは確立していません。

社員の生活がかかっている制度なので面白半分に実験できることではありませんが、
手間が増える割にモチベーション向上に寄与しない評価制度なんていっそ廃止してしまえば良いのではないか。
もしくは
「上長の匙加減によってきまる」と明記して実態に即した制度にすれば良いのではないか。
といったことを考えていると、実務補習時の「評価制度は不要、賃金は一律で良い」という議論があったなぁ。と懐かしく、思い出すのです。

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