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読書感想文

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読んだ本の感想
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終りなき夜に生れつく

試験的にnoteとはてなブログを使い分けてみようと思います。 はてブは主に推し関連の現場やコンテンツの感想を中心として、noteは本とか映画とかの感想を短文で投げる場所にしていこうかと思います。 今回はアガサ・クリスティーの「終りなき夜に生れつく」という本を読みました。買ったのは去年でつい最近読み返してやっぱり大好きだなあと思った作品なので感想を書きます。 ひとまず感想に行く前に、クリスティーの作品を読むきっかけについて。きっかけはツイッターで流れてきたこの記事でした。

ナイルに死す

次にどのクリスティの作品を読もうかと探していたところ、これが傑作との呼び声が高く読むことにしました。初ポアロです。 前回の記事で書いた終りなき夜に生れつくと同様に、この作品も折り返し地点まで到達しないと殺人事件が起こりません。その上登場人物がとても多く、何度も登場人物一覧を見返しながら読み進めていました。 なのに読む手が止まらないのがさすがアガサ・クリスティだなと思わされるところで、人物描写や会話劇でグイグイ引き込まれてしまいます。真相を知ってからだと前半部分も壮大な伏線

葉桜の季節に君を想うということ

※Amazonのリンクを貼ったのですが、レビューでのネタバレがひどいのでこれから読もうと思っている方はご注意ください!(読者を騙すための作品なので事前にトリックがわかると面白さ半減します…!) 叙述トリックものとしては超有名作品で、タイトルも綺麗だし読んでみたいとずっと前から思っていた作品でした。 読書して夜更かしするといった経験を今までしたことがなかったのですが、この作品は面白すぎてやめ時がわからず、気づいたら最後まで読んでいました。読み始めたのが0時頃だったので、4分

最近読んだ本まとめ

僕らはそれに抵抗できない/アダム・オルタ― 上原裕美子(訳)世界中が絶賛した話題の書、ついに上陸!スマホ、フェイスブック、インスタ、ネットフリックス、ゲーム、メール…。新時代の依存症「行動嗜癖」の衝撃。悪用厳禁!のめりこませる手口とその仕組みの全貌を暴く!! 普段こういう実用書って全く読まないのだけど、内容が興味深かったので買ってみた。めちゃくちゃ面白かった。マーカー引きまくった。 これまで依存症というと薬物依存、アルコール依存、ニコチン依存など物質に対する依存が思い浮か

「アドリアン・イングリッシュ」シリーズという海外BL小説が面白すぎる

ここの記事に本来載せるものだったのだが、あまりにも面白くドハマりしてしまったので、単体で記事を書くことにする。 どれくらい面白いかって読書は月に1~2冊ペースのわたしがシリーズ5巻+番外編1巻を半月で読み終えたくらいに面白い。記憶なくしてもう1回読みたい。まっさらな状態でこれを読める人が本当に羨ましい。それくらい最高のシリーズ。最高。 概要LAでミステリ専門の書店を営みながら小説を書くアドリアン・イングリッシュの元をふたりの刑事が訪れる。 従業員であり友人のロバートが惨殺

心中するまで、待っててね。/市梨きみ

大好きだった近所のお兄ちゃんが、“成長しない”体で戻ってきた!? お人よしで皆に愛される福太は、子供の頃の記憶が一部欠けている。 それは憧れていた葵兄ちゃんの記憶。 得体の知れない喪失感を抱えた福太の前に、葵兄ちゃんが昔と変わらない姿のまま現れて――!? 失った記憶。それは思い出してはいけない過去。 連載時から賛否両論! ハートフル不穏BL、謎かけ編。 コミックス描き下ろしは念願のほっこり食卓が実現――? ちるちるを眺めていたら何か面白そうなのあるじゃんと思い買ってみた。

歌舞伎町シャーロック 囚人モリアーティ 解放のXデー/森晶麿

モリアーティの刑務所での生活は、囚人たちに可愛がられる毎日。だがアルバートや一色たちとの出会いから、彼のゲームは始まっていた――少年から青年へ変貌を遂げた空白の10カ月を描くファン垂涎の1冊。 アニメの感想はこっちに書いている。 わたしの中で歌舞伎町シャーロックというアニメは、少し前のわたしみたいな山下誠一郎さんの演技に興味を持った人には真っ先に勧めるし損はさせないが(ツイステのエースに狂わされてるオタク全員歌舞伎町シャーロックを見ろと言いたいレベル)、作品としては1つ1

葬儀を終えて/アガサ・クリスティー

リチャードは殺されたんじゃなかったの――アバネシー家の当主リチャードの葬儀が終わり、その遺言公開の席上、末の妹のコーラが口にした言葉。すべてはその一言がきっかけだった。 翌日、コーラが惨殺死体で発見される。要請を受けて調査に乗り出したポアロが一族の葛藤の中に見たものとは? いやーーーー!!!!めちゃくちゃ面白かった!!!!気持ちよく騙された!!!! この作品をクリスティの傑作・代表作としてあげている人が多いらしいのもすごく納得。 やっぱり全ての発端となるコーラの「リチャ

死体埋め部の回想と再興/斜線堂有紀

ネタバレあり。 前作「死体埋め部の悔恨と青春」の結末のネタバレも含みます。 正当防衛で相手を殺してしまったところを同じ大学の先輩だという織賀に目撃された祝部。秘密裡に死体の処理を請け負う『死体埋め部』の部長(ただし部員は織賀のみ)を自称する織賀に窮地から救ってはもらったものの、祝部は強制的に二人目の部員として、織賀待望の後輩になる羽目に。織賀が運ぶ“奇妙な死体” がなぜそんな風に死んだのか、推理をさせられながら、祝部は織賀とともに死体を埋めるため、織賀の愛車のジャガーで山

最近読んだ本まとめ②

儚い羊たちの祝宴/米澤穂信夢想家のお嬢様たちが集う読書サークル「バベルの会」。夏合宿の二日前、会員の丹山吹子の屋敷で惨劇が起こる。翌年も翌々年も同日に吹子の近親者が殺害され、四年目にはさらに凄惨な事件が。優雅な「バベルの会」をめぐる邪悪な五つの事件。甘美なまでの語り口が、ともすれば暗い微笑を誘い、最後に明かされる残酷なまでの真実が、脳髄を冷たく痺れさせる。米澤流暗黒ミステリの真骨頂。 基本的に通勤中の電車の中で読書をするので、短編集が読みたいなあと思って買った。 どれもお

最近読んだ本まとめ③

アステリズムに花束を 百合SFアンソロジー 「百合」とあるものの、全ての話に女性同士の恋愛要素があるというわけではなく、恋愛感情に限らない女性同士のクソデカ感情+SFアンソロジーと言った方が正確だと思う。 普段全くSFというものを読まないので、あまりにも世界観や設定が作りこまれているものだとまず理解するのに大変で、SF読むのにも慣れ不慣れがあるんだなあと思った。 個人的にお気に入りなのは 四十九日恋文/森田季節 亡くなってしまった人と49日間という期間限定かつ、49文

最近読んだ本まとめ④

正月十一日、鏡殺し/歌野晶午ようこそ、裏本格の世界へ――(歌野晶午) 本格ミステリ大賞二度受賞作家による処女短編集を、新装版で。 彼女が勤めに出たのは、このままでは姑を殺してしまうと思ったからだった――。夫を亡くした妻が姑という「他人」に憎しみを募らせるさまを描く(表題作)。猫のように性悪な恋人のため、会社の金を使い込んだ青年。彼に降りかかった「呪い」とは(「猫部屋の亡者」)。全七編収録。鬼才初の短編集を、新装版で。 ミステリ短編集。重たい話が多い。序盤の2つはそこまで重く

暗黒女子/秋吉理香子

ある女子高で、最も美しくカリスマ性をもつ女生徒が死んだ。 一週間後に集められたのは、女生徒と親しかったはずの文学サークルの仲間たち。 ところが、彼女たちによる事件の証言は、思いがけない方向へ――。 果たして女生徒の死の真相とは?全ての予想を裏切る黒い結末まで、一気読み必至の衝撃作! 映画にもなった作品。映画は序盤ちょっとだけ見て最後まで見なかったので(つまらなかったとかではなく気分の問題)、結局この話どうなるんだろと読む前からワクワクしていた。 ちなみにWikipedia

S&Mシリーズ1~3/森博嗣

表題通り、S&Mシリーズの3作目までを読んだのでその感想。 このシリーズを読むのは初ではなく、2巻目以降は大学時代に紙で買って全部持っている。1巻目を買わなかったのはアニメで見たのでいいやと思ったから。 ちなみにアニメを見たきっかけは、当時加瀬康之さんが好きで(今でも好きな声優さんの1人)、加瀬さんが出ていたからだった。そしてアニメ面白かったから続きのシリーズも本買って読もうと思い、集めることにした。 前置きはここまでで以下感想。3作目の「笑わない数学者」については匂わ