見出し画像

本物の魔本の本はどれ? #放課後ランプ|毎週ショートショート

息を止めたらなんとかなると思っていた。
机の下でまあるくなって、息を潜める。

上靴の踵を折って靴を引きずるように歩く音が近づいてきた。やっぱりきた。

ワタシハココニイナイ。ワタシハココニイナイ。

ぷはっ。もう限界。

頬骨まで長く伸びたさらさらの髪を左耳にかけながらユウキが近づいてきた。

「おまえ、なにしてんの?また魔法の本とか言ってんの?」

ユウキの軽口を無視して、机の下から這い出す。
もう少しで、おまじないが終わるところだったのに。

「ねぇねぇ。今日は何の魔法なのよ?こないだみたいな燃やすやつならもっかいみたい。」

薄いグレーのカラコンと、青みがかった細い髪がユウキを人ではないものみたいにみせている。イタズラっぽくわらいながら、さらに距離を詰めてくる。

今日のは前々から準備していたものなのだ。絶対邪魔をされたくない。

手に持った道具箱を覗こうとするユウキを目で制して、教室の隅へにげる。

「わかっちゃった。喋っちゃダメってやつなのか?前もあったよね、そーゆーの。ところでいままで成功した魔法とかってあるのかよ?」

にやにやしながら追いかけてくるユウキは、明らかに楽しんでいる。まあいい。作戦通りだ。

2人きり。

教室の隅のカーテンの中で道具箱からランプを取り出した。どきどきしている場合ではない。

「うわ。魔法のランプ?こんなベタたやつでなにすんの?」

私はユウキの右手を私の左手で包んで、ランプをこする。

「え?俺がやっちゃっていいのかよ。」

ユウキが私を見つめる。
私は大きな声で呪文を唱える。

「放課後ランプ!」

大きな地響きと共に、空気が揺れ強い光がランプを中心として放射線状に広がり、やがて消えた。

「おまえ…なにやったわけ?」

固まるユウキをそのままにして、私は外へ飛び出した。

一目散にコンビニへ走る。

よし、ちゃんと無い。
カニカマがなくなっている。

魔法の本の通りにやったら、カニカマがこの世から消えた。
この本は本当の本当に本物だ!

【消しゴム魔法】

この世から無くしたいものを口に詰めて、放課後3時間誰とも話さずに机に隠れていること。
見つかった場合、その人間の右手を左手で持ち、ランプを擦りながら「放課後ランプ」と唱える。

……

魔本の本より

私のカバンの中に入れておいたカニカマも無くなってるから大成功だ。

ん?おかしいな、この青いのはなんだろう?
もしかして、カニカマ?この世から無くなったと思っていたけど、青くなって戻ってきた?

どうゆうことだろう…。

魔本の本には続きがあった。

……

だだし、見つけた人間が自分に好意を抱いていた場合、口に詰めたものは、この世から消えず青く変色する。

魔本の本より



【あとがき】

今週も #毎週ショートショートnote に参加させていただきます!

ぜんぜん400字を無視して、1,000くらいになっちゃった上になんだかよくわからん話になったな。。

でもひとまずだそう。
後でちょこちょこ直します。

超絶すごい能力の無駄遣いって大好き。


#放課後ランプ

最後までお読みいただきありがとうございました! 頂いたサポートは全力で全力で書くことにを続ける力にします。