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TAAC 『狂人なおもて往生をとぐ』観劇メモ_Bサイド観劇

#TAAC #狂人なおもて往生をとぐ
11月1日(水)14時開演、最終公演観劇。
2面舞台の小劇場B1にて。前回Aサイドだったので、今度はBサイドから。
Aサイド初見の感想は1番下のリンクから。

Bサイドは3列までしかないせいか、どこに座っても舞台が近い。そしてセットの傾いた壁も近いせいか、迫力はあっても歪さはそこまで強烈に感じない。近すぎるとその歪さに気づかないなんて、トリックアートのような感覚かとハッとさせられる。
冒頭、電球を取り替えて、ピンクな世界の演出に笑いが止まらなくなる父親の表情もよく見えて、やっぱり一緒に笑ってしまったのだけど、1度目とは違う感覚。その後出てきた母親の「とうとうやったのね」の響きが違って聞こえてきた。
ごっこと現実がないまぜになっている中で、どこまでが「曲げることのない真実」なのかは不明だが、ある日の夜の長男は20歳、長女は16歳、次男の年は語られないが、学習塾へ通っているので高校受験?14歳か。そんな次男の敬次が20、21歳になる年だと、あの夜からピンクの電球が付けられるまでに流れた年月は約6年?
「ごっこ」がいつからなのかは不明だが、流れた時間はあまりにも長い。1番多感な時期をその中で過ごしたと思われるのが長女の愛子だろうか。
そこに思い至ると、ある日の夜からの気持ちの吐露、私に返して、という言葉が突然湧いて出たものではなく、当然に思えてくる。
あるシーン、Aサイドからでは舞台奥となる玄関口?に俯いて座り込んでいるな、という印象の愛子だが、Bサイドからだと細かい動きが目につく。
声を殺して、無音で嗚咽しているのだと気づいた瞬間に、彼女が愛おしくてたまらなくなってしまった。
尊敬する父は犯した過ちを美化しようとし、父が居なくては生きていけない母は過ちを無かったことにしようとし、憧れていた兄は壊れてしまい、姉として守るべき弟は他の人の手を取った。
守られるべき時期に守られず、自力で立つことを強いられ、抜け出すことを許されない。愛子の叫びは、誰よりも切実なのではないか。

Aサイドでの観劇後、お友達に教えてもらった靴下ヒント、回収してきました。最初は長男意外は全員履いている靴下、ある夜を振り返ったあの日の翌日、小さなドアを潜って長男の次に出てきた長女の足元は裸足になっている。
足枷が解けたのか、解放への第一歩か。
2人より3人が良い。そう言って弟を招き入れた。
愛子が在りたい「妹であり姉」の姿になれていたらいいなと思う。

2面舞台でBサイドから観劇したら、福永マリカさん演じる「愛子」がとっても愛おしくなりました。

6日間、全9公演。
改めまして、無事の完走、おめでとうございます。素敵な作品を、ありがとうございました

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