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Seventeen's Summer 17歳の最終楽章Ⅱ 第22話

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「おい、待ってくれよ。待ってくれないと自転車乗るぞ」

走るのが遅いくせに、ケンシは自転車を出してくる。

「もう自転車はないだろ、とりあえずここまでこいよ」

汗がTシャツを濡らして肌が透けている。6月末の早朝はすでに夏だ。太陽の光が体中に刺さっている。

ユウキとケンシはルーティンになった早朝ランニングをしていた。

ケンシが息を切らして追いついてきた。

「ユウキ、昨日のどう思う?」

「ああ、あれは」

妙な出来事に戸惑っているのはユウキも同じだ。

「とりあえず俺たちだけの秘密にしとかないか」

「なんでだよ、みんなで協力したほうがよくね?」

ケンシが汗をかいているのに余裕の表情で言ったことにユウキは少しだがいらついた。

「協力って、こういう時に使うなよ。あっちの部屋にはトゴウもいるからさ」

「そうか、トゴウだったらなんかいやだな」

「トゴウじゃないとは思ってるけど、あっちの部屋とはあんまり交流ないし、俺たちだけで追ってみないか」

「わかったよ、じゃあ俺は何も言わない。ユウキがこの件は追ってくれよ」

「まかせて、ていうか、刑事みたいだな俺たち」

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