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西部開拓時代のエリアがある理由 〜ウエスタンランドの歴史〜

どうも、カレーにスイートコーンを入れてみたらすごく美味しかったです。みつきです。

前回ワールドバザールについて解説し、以前にはアドベンチャーランドについて解説したので、今日は東京ディズニーランドのエリアシリーズとしてウエスタンランドの話をしていこうと思います。

ウエスタンランドは東京ディズニーランドの開園当初からあるアトラクションにしては珍しく、エリア全体のテーマがはっきりしています。舞台は1860年代から1890年代のアメリカ大陸の西部の土地を開拓していた「西部開拓時代」です。年代だけ聞くと遥か昔の話に感じますが、人類の歴史としてみれば産業革命も行われていますし蒸気機関も動くようになっているのでとても技術が発達した最近の出来事です。しかし西部の土地は乾燥していて作物も実りづらく、暮らしも毎日のように過酷な肉体労働が続きました。

いったい何故技術が発展した時代にわざわざアメリカ西部の土地を開拓したのでしょうか。それはアメリカの西部には莫大な「金」が眠っていたからです。ヨーロッパの国々で技術力や富を高めていた人類が長い航海の末にアメリカに移り住み、大量の金を求めて広大なアメリカ大陸を開拓していったのです。ウエスタンランドはそんな「ゴールドラッシュ」の時代が舞台となっています。

さて、では何故東京ディズニーランドの複数あるエリアのうちにこの西部開拓時代をテーマにしたウエスタンランドが選ばれたのか。その答えはアメリカの初代ディズニーランドにあります。何故なら東京ディズニーランドはアメリカのディズニーランドにある「フロンティアランド」と呼ばれるエリアをほぼそのまま導入したからです。因みに東京ディズニーランドにあるエリアの名前がフロンティアランドではなくウエスタンランドとなっているのは、日本人には”開拓地”を表す「フロンティア」という言葉はあまり馴染みがないと考えられたからだそうです。

"Frontierland Sign Magic Kingdom Walt Disney World" by mrkathika is licensed under CC BY-SA 2.0.

そしてディズニーランドにフロンティアランドが作られた理由ですが、端的に言うとディズニーランド自体が「アメリカという国」をテーマにして作られた遊園地であったからです。例えばパークの入り口となるメインストリートUSAは、ディズニーランドが開園した1955年当時の50〜60代の大人たちが自分の幼少期の頃を懐かしむように1910年代のアメリカの田舎町が表現されています。

"Main Street, U.S.A." by bellemarematt is licensed under CC BY-SA 2.0.

そしてパークの中心から左側にフロンティアランド、右側にトゥモローランドが広がっており、フロンティアランドはアメリカ大陸を開拓した先人達の努力や功績を讃えるための過去のアメリカで、トゥモローランドはこれからを担う子供達が大人になって実現する技術の発展した未来のアメリカを表現していました。それ以外にも、当時は映画は西部劇ブームであり、世界的にはどの国が先に人類の月面着陸を達成するかという宇宙開発ブームが行われていたりと、流行に沿って選ばれたエリアでもありました。

そんなアメリカ人のためのフロンティアランドがウエスタンランドとして東京ディズニーランドに採用されたのは、当時の日本人のゲストはアメリカから来るディズニーランドというパークにアメリカ特有の非日常感を求めていたからです。これについては以前ワールドバザールの歴史についての記事を書いた時にも触れましたが、東京ディズニーランドはアメリカにあるディズニーランドをほぼそのまま再現するように作られました。

そんなウエスタンランドの内容ですが、基本的に3つのエリアに分かれており、開拓者達が集う西部の街、アメリカに流れる運河をイメージしたアメリカ河、暴走列車が走るビッグサンダー・マウンテンによって構成されています。このうちスリルあるジェットコースターとして作られたビッグサンダー・マウンテンを除く、西部の街なみとアメリカ河は1955年の初代ディズニーランドから受け継がれた光景です。

当時の人々は一攫千金を求めて蒸気船や蒸気機関車に乗ってアメリカ西部へと渡り、過酷な生活に耐えながら土地を開拓していきました。なお初代ディズニーランドの開園当初にはインディアンに扮したダンサーがショーを行うインディアンの村があり、当時のインディアンの文化や習慣を表現していました。インディアンの生活の様子は東京ディズニーランドのアメリカ河沿岸でも見ることができます。

そしてウエスタンランド(もといフロンティアランド)は「ディズニーランドで最も完成されたエリア」とされています。進化し続ける未来に準じてアップデートをし続けなければいけないトゥモローランドや、人気の映画に対応するファンタジーランド、冒険がテーマなら何でも導入するアドベンチャーランドとは異なり、ウエスタンランドは西部開拓時代のアメリカという大体の場所や年代が限定されており、過去の話なので(現代に合わせた表現に変更される場合を除き)内容が変更されることもありません。

現にウエスタンランドの大規模なアップデートというものは1980年代ごろにスリルのある要素を足すために作られた「ビッグサンダー・マウンテン」が最後で、ここ20年の細かい追加要素を見ても海外のディズニーパークでのビッグサンダー・マウンテンの演出追加や、東京ディズニーランドに登場したドナルドのグリーティング施設であるキャンプ・ウッドチャックくらいです。

逆に言うと、ウエスタンランドは東京ディズニーランドの開園当初から殆ど変わらない光景を保ち続けています。特に東京ディズニーランドのアメリカ河とトム・ソーヤ島に関しては1955年にカリフォルニアにオープンしたディズニーランドと全く同じもの(ただし左右を反転させたもの)を導入しており、カリフォルニアのディズニーランドが諸々の開発で内容を変化させている中、東京ディズニーランドでは65年以上前のカリフォルニアとほぼ同じ光景が今でも残っているのです。

さて今日はここまで。ウエスタンランドはビッグサンダー・マウンテンからトム・ソーヤ島にまで掘り下げると面白い見所がたくさんあるので、また別の機会にお話ししようと思います。ではでは。

〜note限定おまけ〜

個人的にウエスタンランドでオススメの景色を紹介します。それがこちら。

この写真はウエスタンランドのレストラン「キャンプ・ウッドチャック・キッチン」の2階テラス席から撮影したものです。何故この景色がおすすめかと言うと、ここから見える要素(アメリカ河、トム・ソーヤ島、蒸気船マークトウェイン号、ビーバーブラザーズのカヌー探検)は全てウォルト・ディズニーが作り上げた時代のディズニーランドのフロンティアランドのものだけで構成されていまるのです。キャンプ・ウッドチャック・キッチンで食事を楽しみながら60年以上前のカリフォルニアのディズニーランドに想いを馳せてみてみるのはいかがでしょうか?

↓下の❤️を押すと東京ディズニーリゾートで撮った写真と一言コメントが見られます。

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