PSV 2023年夏の動き(移籍市場閉幕)

主な選手の出入り(2023夏)

入団/復帰:
リカルド・ペピ (←アウグスブルク、昨季はフローニンゲンへローン)
ノア・ラン(←クルブ・ブルッヘ)
イェルディ・シャウテン (←ボローニャ)
イルビング・ロサーノ (←ナポリ)
マリク・ティルマン(←バイエルン・ミュンヘン*)
セルジーニョ・デスト (←バルセロナ*)
アルメル・ベラ=コチャップ (←サウサンプトン*)
シュランディ・サンボ (←スパルタ・ロッテルダム**)
ヨルブ・フェルテッセン (←ウニオン・サン=ジロワーズ**)

退団:
エリック・グティエレス (→チーバス・グアダラハラ)
フィリップ・マックス (→アイントラハト・フランクフルト)
シャビ・シモンス (→パリ・サンジェルマン)
フィリップ・ムウェネ (→マインツ)
イブラヒム・サンガレ (→ノッティンガム・フォレスト)
アンワル・エル=ガジ (双方合意のうえ契約解消)
サヴィオ (→マンチェスターシティ**)
ジャレッド・ブランスウェイト (→エヴァートン**)
ファビオ・シウヴァ (→ウォルヴァーハンプトン**)
トルガン・アザール (→ボルシア・ドルトムント**)

*ローン移籍
**ローンバック

昨季トップチームでの出場のなかったアカデミー生や、ローン等で未在籍のうえで今夏契約満了、移籍となった選手は割愛します。

夏の大きなトピック

新監督にペーター・ボス就任

CLベスト4に進出したアヤックスを率いたのはテンハフだが、多くの若手を見出した監督は彼である。昨季、監督選びで迷走したアヤックスと競合したとかしていないとか。ただし、そのアヤックス以後、監督を務めたチームではいずれも守備を整備できず大量失点で負けを繰り返し、最後は解任に遭ってばかりであるため、魅力的なフットボールやタレントの抜擢に期待がかかる。とはいえ、この5年、現場に立ち続けてるのに行く先々でうまくいってない監督であることは肝に銘じないといけないけれど、さすがに監督経験の差でエールディヴィジの舞台で後手に回ることはないと期待したい。

https://www.psv.nl/english-psv/news/article/news-psv-appoint-peter-bosz-as-head-coach.htm

ノア・ラン加入

オランイェの選手の加入であるため当然ながらも、まさか彼がエールディヴィジ復帰を選ぶとはという決断に大きな驚き。シモンスが残留すれば強力なコンビに、万が一退団した場合にはエース格の選手として据えることができる、とても良い立ち回りだと思う。エールディヴィジ開幕戦ではさっそくニアぶち抜きのゴラッソを披露。左サイドでデストまたはファンアーンホルトのオーバラップ、フィーエマンのインナーラップを活かすことも多いけれど、やっぱりPSVの左WGならば、もっと独力で状況をひっくり返す姿を期待してしまいます。

シャビ・シモンス、退団

7月に入り、PSGは当然ながらリリース条項を行使し、本人の意思に委ねられる一か月のせめぎあいが始まった。PSV側はキャプテン待遇、チームの大黒柱として据えるなど、身の丈なりに最高のパッケージを用意。ノア・ランの7番着用に皆が悪いほうへ察してしまったが、彼は新10番になるとのアナウンスに胸が高鳴った。しかし、皆の度肝を抜く発表。RBライプツィヒを巻き込んだPSGのパッケージを前に成すすべなし、ライプツィヒへの買い取りオプションなしのローン移籍が発表。

一歩進んだレベルのリーグでそれなりの役割を担うことができるCL出場確定クラブを連れてくるという、PSGでの未来に片足を残しながら、出場機会が望める一つ上の舞台で1シーズンを戦う機会の前には、彼がそう決断するのも当然と納得するしかない結末。このパッケージを用意したPSGのフロントも、嗅ぎつけたのか乗っかったのかは分からないけどライプツィヒも凄い。

5年ぶりのUEFAチャンピオンズリーグ本戦出場

ポルトガルやフランス勢と当たるプレーオフならまだしも、昨年のプレーオフ以後は、顔ぶれの中で本命級のクラブであり、絶対にPSVなら勝ち抜かないといけないと思っていました。UEFAリーグランクの累積ポイントにより、今季から2位のチームもCL本戦出場となるエールディヴィジ。競争力を維持するためにも今年CLに出てチームを厚くし、来年も出場してクラブを好サイクルに乗せることは次の5年、10年に関わる重大な分かれ目。そんな、栄光を得るためには絶対に勝たないといけないプレーオフ2ndレグで5-1の大勝。嬉しさももちろん、これからの未来に見通しが明るい見通しを立てられそうな重要な一歩を踏み出したことに、喜び以上に安心を抱いたというのが本音です。

移籍最終日①バカヨコ狂騒曲

7月を過ぎ、様々なクラブの話題に彼の名前が上がるようになった。PSVのファンとしては、才能は認めるけれど、彼の名前がここまで上がるのは、プレーの質そのものではなく、年齢に対しての出来に終始している、というのが率直な感想です。

PSVでスタメンを得てまだ半年程度でフル出場もまだまだ少ない。
そんな未完成なアタッカーに過ぎず、報じられるようなクラブに行ったところで殻を破れず、放浪するキャリアの果てにオランダ帰還だろうな、というのが今現在でも思っていることです。

マドゥエケですら早すぎる決断だと思っているので、それよりもはるかに未熟な彼にはPSVで踏むべきステップ、成すべきことが数多く残っており、少なくとも今季はPSVに残留することが彼のキャリアの上では最善でしょう。

一方で、未完成な選手に30milを超すような金額が払われるなら売却は全然あり、オファーを受け入れる判断は全くをもって正しいと思います。言葉が悪いですが、PSVなら、このクラスのタレントなら育てる、または見つける確信があるので、ならフォファナなど次の才能にシフトできるのもPSVの強みですね。

最終日が迫るなか、これまで聞いていたクラブたちではなく、ブレントフォードが特大オファーを提示。前述のスタンスもありクラブはオファーを拒否せず本人に決断を委ねた結果、PSV残留をバカヨコ自身が希望し、この話は収束。

移籍最終日②サンガレ、二転三転

CL本戦出場が決まり、彼はここで続ける気持ちも十分にありそうだし、残留しそうだねという楽観に包まれていた矢先、移籍最終日にノッティンガム・フォレストがオファーを増額し、その真剣さが本人に届き移籍決定。オファーも35mil程度とPSVの希望に近い金額で、国内カップ2連覇に貢献した中核が次のステージへ進むことに。

3シーズンの在籍で、ダイナミズムと超高速ミドルシュートで沸かせたり、このレベルでプレーする選手としては信じ難い大ポカを連発して失点の起点となり何度も怒りを抱いたりと、彼自身の愛嬌も合わさり、本当に憎たらしく愛らしい選手でした。PSVでプレーしてくれてありがとう。次の舞台でも同じように大切な存在としてファンからの愛情を集めますように。ただし、タブロイドの一面を飾るようなポカは、アイントホーフェンに置いていくこと。

移籍最終日③ウルトラC(hucky)

メキシコからやってきた韋駄天、イルビング・ロサーノ。鞭のような早い足の振り抜きから炸裂する強烈な低い弾道のシュート、ボールを受けてからの急加速は、体格も相まってセルヒオ・アグエロを連想してしまうほど。2年の在籍で、リーグ60試合34G 22A。そんな選手がステップアップに至るのは当然のことで、ナポリへ高額の移籍金で渡ったのは2019年の8月の終わり。

あれから4年。シモンス退団の穴を埋めきれない、ちぐはぐなPSVが8月の中頃にはいた。
いくつかの報道で、PSVはどうもチャッキーにアプローチしてるらしいという噂。実現すればどれだけよいかと思うけど、まぁ、想像するだけなら、聞くだけならタダだし、移籍市場のニュースってそういうものだから、と僕は流していた。

しかし、8月最終週にこの噂は具体的なものに。本人にアイントホーフェンへの帰還希望があると判明し、事態は急進展。移籍最終日まで発表を待つことになるも、見事に念願成就。PSVのファンは、クラブ創設110周年を祝う傍らで、ロサーノのチャントを上がる花火に乗せた。

レジェンドと呼ばれる選手たちがキャリアの最終ページを飾るために舞い戻ることは多くあったものの、キャリアのピークにあるような選手が望んで帰ってくるなんて、、、と感動がとまらない。
温めなおしたスープはまずい、と言われるけれど、ナポリではわき役にとどまっていた彼が、再びエースとしてこのチームをけん引してくれるだろうという楽しみだけで、今季は舞い上がってしまいます。

まとめ、感想

ボス就任は、中期構想の見直しを突如として強いられた中でとれるベストの選択だと好感を抱いていた直後、ノア・ランの電撃獲得で度肝を抜かれて夏がスタート。

シモンスとラン共演に胸が躍るも、直後、彼の慰留は叶わず移籍が公式に発表。かつてPSVが座っていたメガクラブの真下の位置に今はライプツィヒがいることを思い知らされ、シモンスの望む歩みに対して、もはやPSVが役不足という現実を叩きつけられたような、無常感を覚える出来事でした。

粛々と、シュミッドと前SDのジョン・デヨングが獲得し、ここ2,3年を支えた選手が次々とブンデスリーガへと帰っていく一方、遅々として進まない加入を見て、今年は若手中心になんとか行けるとこまで行く試行錯誤を思わせる状態が8月の中盤まで続くものの、移籍最終日にかけて次々と移籍が成立。

終わってみれば、とんでもないビッグサマー。ゲッツェの加入とファンヒンケルの帰還が起こった3年前もなかなかだったけれど、それもかすむような2発の電撃的な大型移籍、そして最終日の最後まで動いて、しれっとベラ=コチャップまで連れてくることに成功、やれることはすべてやった文句なしの移籍市場でしょう。

強いて言えば、サンガレの退団のタイミング次第で、ここにさらにヴァイナルドゥムが戻ってきた可能性もあったのかな、というぜいたくなIfルートを考えるくらい。でも、とにかく、チャッキーが帰ってきてくれたのがまずとてもうれしい。

CL本戦出場確定が大きな支えになっているのは間違いないけれど、首脳陣の本気、野心を感じられた夏。

ぜひとも成果、すなわちCL16強入り等の欧州での躍進、そしてリーグ制覇を叶えるために一丸で臨むチームを今季も応援したいと思います。C'mon, PSV!

<了>


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