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ピタリ賞でぷちハッピー


さて、
今週、
ついに、
ピタリ賞が、
なんと、
なんと、
今夜、
ピタリ賞が、
なんと、
ついに、

‥‥‥

出ませんでしたっ。
ガクッ。

分かっててもガクッとしちゃう。期待してないけど、もしかしてって思ってしまう。別に、ピタリ賞が出ようと出まいと私には何の影響もない。でも、出たら出たで「すごーっ」って、テレビの前で拍手しながら喜んでしまっている。
ピタリは、人をハッピーにするのだ。

スーパーのレジで小銭入れを覗く。キャッシュレスの時代にいまだに現金で支払っているのは時代おくれの化石みたい。いや、カードにチャージして、というのは使ってる。それでも小銭がお財布の中に溜まっていく。50円や100円はそれほどストレスではない。要は1円玉、5円玉、10円玉を使いたい。お財布を軽くしたい。お財布の中の小銭を数えて支払いに備える。最大限、出したい。

「1068円です」

はしたの68円、ピタリ賞。10円玉6個、5円玉1個、1円玉3個。
小銭入れは空っぽに。どうせまたすぐに小銭ができてしまうけど、束の間のハッピー。

ちゃまの個人年金が通帳に入金された。一部を引き出して別の金融機関へ預け入れをする。ATMで一度に出せる枚数100枚。入れられる枚数も100枚。(もしくは、108枚)
100と50に分けて引き出した。そのまま、分かれたそのまま別の金融機関へ持って行けば良かったのに、つい、両方を合わせて一つの束にしてしまった。

「100しか入れられないから、適当に2つに分けて入れて」
と、ちゃまからの指示。私はATMに向かう。
束から適当に取って機械の中へ。

「計測中」
の表示のあと、画面が切り替わった。


「90枚」

うわ、ピッタリの数字だ。何か気持ちいい。てことは、残り60枚。ホントは100と50がベストピタリ賞だったけど、90と60だって、端がないのだからある意味ピタリ賞。車に戻ってちゃまに報告した。別に褒められるようなことをしたわけでもないけど、私のハッピーが伝わったのか、「すごいね」と褒めてくれた。思いがけないハッピー。


職場で2000枚のチラシを、配布先に合わせた枚数に分ける作業。配布先によって300枚のところもあれば40枚のところもある。私はこの作業の時はいつも、まず50枚の束を作る。330枚なら50の束を6個とバラで30。40枚なら50の束から10枚減らす。いろんな方法があると思うけど、私にはこのやり方が一番やりやすい。50枚ずつ束にする時、最初のうちは10枚以上も足りなかったりする。サッと手にとった時だいたいにおいて足りない。少なめにとってしまう。そのうちだんだんと手が覚えて、差異が小さくなる。2枚足りない、3枚多い。
「あー惜しい」
「うん、ちょっと足りないかなって思ってたわ」
「だよねー、ちょっと重かったから多いかなって。やっぱり思った通りだったわ」

なんて。声には出さないけど心の中ではいちいち一喜一憂している。そして、

「お、やった!50枚ピタリ」
この瞬間がたまらん。連続してピタリ、なんてことになったら、もうハッピー、ハッピー。一日ごきげん。面倒くさい作業も楽しめたらハッピー。


量り売りの惣菜屋さん。ショーケースの中から注文の品が載ったバットを取り出して注文されたgの商品を目分量で小分けのプラスチックケースへ入れ、ショーケースの上のはかりに乗せる。ここでたいていは何gか多かったりする。その数字が客である私たちに見えるよう、はかりはショーケースの上にあるのだ。100gいくらで設定されているので、何gかでも多ければその分値段も変わる。
「204gです、よろしいですか?」
と聞かれ、「はい」と応えるのが常。実際は何g差異があろうと文句を言うつもりは最初からない。そもそも差異が4とか7とか、一桁ってことが既にすごいのだ。
その日も、ショーケースの前をうろついて結局いつもの、いぶりがっこが入ったポテサラを200gお願いした。店員さんはベテランぽい女性。私たちの見えないところで小分けのケースに入れ、それを私たちに見えるはかりに乗せた。

200g

「おっ」思わず声が出た。ここでのピタリは初めて。店員さん、グッジョブ。ハイタッチしたくなる。店員さんも普段なら、少し多いけどよろしいですか?と聞きたいところだが思わぬピタリ賞が出たため一瞬どう言おうかと考えたみたいだった。

「200gです」
「はい」
「こちらをレジへどうぞ」
「はい」

お互い少しぎこちなくなってしまう。でもきっと、あの店員さんは心の中でガッツポーズしたはず。私だったら絶対そうした。誰かのハッピーは私にもハッピー。


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