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それはあこがれ「の・ようなもの」

森田芳光監督の劇場用映画デビュー作「の・ようなもの」。
1981年公開ということは昨年公開40周年だった訳だ。
40年前、劇場で観ている。以来、DVDなどで繰り返し観ている大好きな映画だ。


落語とは人間の業の肯定、と看破したのは立川談志。
「の・ようなもの」の中にこんなダイアログがある。
新米の落語家志ん魚(伊藤克信)がソープ嬢のエリザベス(秋吉久美子)に言う。
「オレ、二十歳の時に親父に女買ってもらったんですよ」
エリザベス応えて「あら、良いお父さんじゃない」。

参った。これは書けない台詞だ。まさしく業の肯定だ。
凄い人が出て来たと思った。
それまで日本映画、いや世界中の映画でそんなお父さんは蔑まれるか、否定されて来た。今また世間はそっちに戻っている。

さてその志ん魚が恋する相手が落研の高校生由美。演じていたのは麻生えりか。
業の肯定は恋の前に封印される。そういうものだ。男の自意識というものが立ちはだかるのだ。
むしろ高校生の女の子の方がそれを肯定していた。彼に言い放つ決め台詞。
「ヘタクソ」。
刺さる。この台詞も凄いと思った。

公開40周年の昨年、私の最新作「あしやのきゅうしょく」に麻生えりかさんに出て頂いた。勿論「の・ようなもの」への敬愛あってのキャスティングだ。可憐な女子高生が、孫のいる豆腐屋のおばあちゃん役に。

撮影初日、麻生さんは監督カワイイ、と何枚も私と一緒に写真を撮った。
私はどうも麻生さんに緊張感を与えない監督のようだ。

麻生えりかさん

あの「ヘタクソ」という台詞は、七回ほどやり直したそうだ。
森田監督、こだわっていらっしゃった、とのこと。

DVDのジャケットにサインしてもらった

2月4日(金)の関西先行公開
3月4日(金)より全国順次公開「あしやのきゅうしょく」ご覧頂けると幸いです。
公開劇場は下記の公式サイトでご確認下さい。


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