白羽弥仁

映画監督 「能登の花ヨメ」(08)「ママ、ごはんまだ?」(17) 「あしやのきゅうし…

白羽弥仁

映画監督 「能登の花ヨメ」(08)「ママ、ごはんまだ?」(17) 「あしやのきゅうしょく(22) ほか 最新作は「フィリピンパブ嬢の社会学」(2024年2月17日新宿K's Cinemaより全国順次公開) https://mabuhay.jp/

最近の記事

中二は銀色の銃の夢を見るか

壮大な無駄遣いか、心の宿痾の克服か。 阿呆なものを買ってしまった。 ↓これ イーストウッド監督・主演「ガントレット」 公開は1977年。僕中二。 IMDbでは星6.4だが当時中二の駆け出し映画ファンの僕でもこの映画の構成のユルさには首をひねる思いだった。 ラストのバス銃撃は無駄としか言いようがない。タイヤを撃てば済む話である。 が、それでも時々今でもBlu-rayで見直すのは、所々散りばめられたイーストウッドの映画演出センスに抗い難く惹かれるからだ。 冒頭の、朝焼けの

    • 幻か 相米さんのこと

      昨日の私のnoteの投稿について 水道橋博士さんからXの方にお返事があった。 こうなると気になって仕方がないので大雨の今日、外出を諦めて蔵書を漁ったがやはり見つからなかった。 2002年刊、映画芸術の「総力特集 相米慎二」にもそれはなかった。 幻の制作日誌。 キューブリックの「博士の異常な愛情」(1964)の正確なタイトルは、 そう、心配するのを止めよう。それがあの映画「太陽を盗んだ男」への愛。 案外当時制作進行の黒沢清さんがきちんと日誌をつけていたりしているのかも。

      • 博士様 おそらくこれじゃないでしょうか

        月刊イメージフォーラム1980年6月発刊 創刊準備号 Dear 水道橋博士様 お探しの「太陽を盗んだ男」制作日誌なるものはこの雑誌に載っている長谷川和彦監督と川喜田和子さんの対談形式による「製作と配給の現場から」ではないでしょうか。 相米慎二氏によるものではないですが、長谷川氏ご本人によるかなり詳らかな撮影状況とポストプロダクションの攻防が語られています。 直接相米氏の名前は出ていませんが、助監督とのやり取りも生々しく語られています。 博士さんのご記憶と完全に一致するも

        • ルビー・モレノさんから

          「儲かりまっか」「ぼちぼちでんな」 フィリピン出身のルビー・モレノさんの出世作、崔洋一監督「月はどっちに出ている」(1993)を、この「フィリピンパブ嬢の社会学」の撮影に入る前に再見した。 何も畏敬する故崔洋一監督を越えようとかそういう事ではなく、在留外国人と日本人を対等に描くこと、彼ら彼女らのバイタリティと明るさを全面に押し出すこと。 そういったファクターを再確認したかった。 当時「月はどっちに出ている」は制作も配給も及び腰で、なかなか実現しなかったのは我が「フィリピ

        中二は銀色の銃の夢を見るか

          個人的には何もないクリスマスだけど

          最新作「フィリピンパブ嬢の社会学」11月10日愛知県先行公開から6週突破となりました。 公開中のミッドランドシネマ名古屋空港ではクリスマスカードをプレゼント 東京公開は2024年2月17にち(土)から新宿K's cinemaでスタート

          個人的には何もないクリスマスだけど

          必読 文藝春秋12月号

          明日から愛知県先行公開「フィリピンパブ嬢の社会学」製作の顛末が「文藝春秋」12月号にて、原作者中島弘象さんの筆で綴られています。 紙版は11月10日発売、私は明日名古屋に向かいます。 11日、12日と舞台挨拶をさせて頂きます、11日の分は残席僅少の様です。 12日はまだ余裕がある様です。 皆様のご来場を心よりお待ちいたしております。

          必読 文藝春秋12月号

          愛知県先行公開まであと10日

          私の最新作「フィリピンパプ嬢の社会学」の愛知県先行公開まであと10日となりました。 シネナゴヤさんに私と前田航基、一宮レイゼルのかなり長めのインタビューが掲載されました。 公開日11月10日(金) ミッドランドシネマ名古屋空港 ミッドランドスクエアシネマ2 中川シネマワールド 翌11日(土)には2館で舞台挨拶をさせて頂きます ミッドランドシネマ名古屋空港では10:40の回上映終了後 ミッドランドスクエアシネマ2では13:30の回上映終了後 です。登壇者は前田航基(中

          愛知県先行公開まであと10日

          ゴジラと戦うフィリピンパブ嬢

          最新作「フィリピンパブ嬢の社会学」愛知県先行公開が11月10日(金)からとなった。 愛知県ご当地限定版のポスターがこの上のXのやつ。 正直、モリモリで英語タイトルなんか勝手に変えられていてなんともなのだが、一週前の11月3日から「ゴジラ1.0」が全国公開。 制作費も宣伝費も象とアリくらいの格差(ウチがアリです)なので名古屋2館ではご当地感をプッシュして「これくらいしないと目立たない」らしい。 去年の「あしやのきゅうしょく」の時はご当地上映は京阪神3館だったけど神戸のシネコン

          ゴジラと戦うフィリピンパブ嬢

          「フィリピンパブ嬢の社会学」愛知県先行公開決定

          noteに書ける出来事がなくて間が空いたが、ようやく。 昨年9月に撮影していてとっくに完成していた映画「フィリピンパブ嬢の社会学」の愛知県先行公開が決まった。 なんでこんなにも遅れたかというと、昨年文化庁が出したコロナ対策補助金で映画の製作本数が急に増えたから。 それらの作品を2023年度内に封切ることが補助金交付の条件になっているので、いま全国の劇場は公開待ちの大渋滞なのだ。 ちなみに「フィリピンパブ‥」はそちらからは一円も貰っていない。 とまれ、公開は2023年11

          「フィリピンパブ嬢の社会学」愛知県先行公開決定

          「フィリピンパブ嬢の社会学」完成発表

          記事のコメントでも書いたけど、原作の登場人物にはそれぞれモデルがいる。 実際に会った人もいるし、恐らく永遠に会えない人もいる。 映画では実在の人のキャラクターをカリカチュアライズしたり、男女を入れ替えたりもした。その点は創造であり、創作である。 公開までまだ時間があるのでこれからも情報発信します。ご期待下さい。

          「フィリピンパブ嬢の社会学」完成発表

          20年後のツーショット(擬似)

           国立映画アーカイブの「没後10年 映画監督 大島渚」展示と特集上映へ。  20年前、映画監督協会のパーティで原田眞人監督と喋っていたら、会場に車椅子姿の大島渚監督が現れた。 オーラ、というありきたりの形容ではなく華やぐような妖気がその空間に広がる。 原田監督が「俺、大島さんと写真撮ってもらお」と大島さんに駆け寄る。 が、何故か僕は気遅れて足が動かない。オレ如きが、という自意識過剰が脳裏をよぎったのかも知れない。 吸い寄せられた原田さんの方がむしろ自然な脊髄反射だろう。

          20年後のツーショット(擬似)

          まっ正直な少年のまま逝ったあの人のこと

           2月25日、神戸映画資料館で故大森一樹監督のことを話した。 22日に東京であった「偲ぶ会」も約300人臨席の盛況だったが、昨日のこのイベントも満員、キャンセル待ちまで出ていた。 ご遺族、そして上映された「暗くなるまで待てない!」「夏子と、長いお別れ」に出演されていた方、スタッフとして参加されていた方も来場されていて否応ないプレッシャーだったが、約一時間僕しか知らないエピソードを中心にお話しさせて頂いた。 自分で話していて、大森一樹とは何とまっ正直で、裏表がなく、偉そぶらず

          まっ正直な少年のまま逝ったあの人のこと

          三重県菰野町に閉じ込められた

           1月25日午前8時に愛知県春日井市を車で出発。 目指すは神戸の自宅。 名古屋市内まではスイスイと進み、三重県四日市市の手前で高速から降りろとGoogleマップの指示。 そこまでは何ら問題なかったが、 地獄の入り口はすぐ目の前だった。 豪雪で三重県内の高速道路入り口は全て封鎖。 今朝26日朝までニュースになっている新名神高速は、その時点で1mも動かない膠着渋滞だったのだ。  一般道も渋滞はないものの低速走行でしか進まないほどの積雪量、ハンドルは右に左に取られてしまい緊張を強い

          三重県菰野町に閉じ込められた

          監督生活三十周年

          あけましておめでとうございます。 令和五年 2023年 本年も宜しくお願い致します。 元旦深夜(2日) 石川県のMROテレビ 3日深夜(4日) 1:45から 福岡県のKBCテレビで 2017年の私の作品「ママ、ごはんまだ?」がオンエア(MROは放映済み) 1月11日には2022年の作品「あしやのきゅうしょく」のDVDがリリース そして最新作「フィリピンパブ嬢の社会学」が下半期に劇場公開予定 こんなに重なっている年は初めてだし、これからもうないと思う。 そしてデビュー

          監督生活三十周年

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          「あしやのきゅうしょく」DVDリリース

          私の監督・脚本作品 2022年全国劇場公開「あしやのきゅうしょく」のDVDが2023年1月11日リリースされます。 この映画は公開前後から全国各地で学校給食のあり方を巡る議論の俎上に上がっているようです。 これを機会にご覧になって頂けると幸いです。 今年は春にこの映画が公開、秋に新作「フィリピンパブ嬢の社会学」撮影と映画制作一色の一年でした。 来年はこのDVD発売、新作公開となります。 また、デビュー作「She's Rain」の公開から30周年、ということは映画監督になって30年の年でもあります。 立ち止らず、前を向いて進もうと思います。 皆様、良いお年を

          「あしやのきゅうしょく」DVDリリース

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          1981夏「風の歌を聴け」撮影台本

          11月に亡くなった大森一樹監督のことを冷静な気持ちで文章にするにはまだ早い気がしている。 大袈裟かも知れないが自分の個人史に密接に関わっているからだ。 公に書けないこともある。 実際、あれ以来、自分の感情がフラットなまま弾ける事がない。 来春に東西で開かれるというお別れの会が済んだら、ちょっとは心の整理もつくかも知れない。 今年(2022)に頂いた年賀状、何度かやりとりしたメール、そして9月私がマニラでロケ中に撮影監督にかかってきた電話。「いま横に白羽さんいますよ」と撮影監

          1981夏「風の歌を聴け」撮影台本