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「緊急事態宣言早期解除」は狂気の沙汰!

尾身会長でさえ反対した「前倒し解除」

政府は諮問委員会の大多数の反対を押し切って、首都圏以外の6府県の緊急事態宣言を2/28に前倒し解除。                    今回ばかりはさすがの忖度専門医尾身会長も「まだ時期尚早。」と政府の暴挙に反対を表明、珍しくまともなことを言っています。   

人の社会的移動が増える年度末と年度初めの直前という最悪のタイミング。全国の新規感染判明者数が下げ止まりし、死者数と致命率は依然として上昇していて医療体制への負荷が高いまま。                従来株と英国株が入れ替わりつつあることが確実視されている状況で前倒し解除などしたら、アナウンス効果も手伝ってリバウンドするのは確実です。(解除の結果は、およそ2週間後に判明します。)

下げ止まりは日本だけの現象ではなく北半球のほとんどの国で同じような傾向が表れており、中には下げ止まりから再び拡大に転じた国も出ています。これは非常にまずい兆候で、専門家はこのままでは英国変異株が感染の中心になる3月から4月頃に第4波が来ると警告しています。

       IHMEによる日本の真の感染者数と今後の予測等             

解除どころか緊急事態宣言の更なる延長が必要

「菅政権の新型コロナ対策は『ハンマーを捨てたダンス戦略』」で書いたように、人道的にも経済的にも新型コロナとの共存(ウイズ・コロナ)などは不可能で、経済を回したいのなら新型コロナを封じ込め、ゼロコロナをめざすしかないのです。

本気でゼロコロナを目指すのであれば、解除どころか、全国の新規感染判明者が、せめて二桁になるまで延長することが必須です。         二桁まで減らせば、後は大規模PCR検査と追跡調査による「対新型コロナ掃討戦」を行うことで、台湾やニュージーランドのような「封じ込め状態」にまでもっていける可能が出て来ます。

そのための必要条件は、早急に「諸悪の根源 東京五輪」を中止する事といまだに実質ザル状態の入国検疫を台湾や中国並みに厳格化することの二つです。

安倍政権は新型コロナ封じ込めのチャンスを逃した

過去の経験に鑑みると、1回目の緊急事態宣言後の5月に全国の一週間平均新規感染判明者数が50人以下にまで減った時が最大のチャンスでした。

しかし、安倍政権はフルスペックの緊急事態宣言であと一歩のところまで追いつめたのに、肝心の「新型コロナ残敵掃討作戦」を全く実施しませんでした。それどころか、逆に規制を次々に解除、敵に兵量弾薬を大規模に供給する経済最優先政策に舵を切ってしまい、みすみす絶好のチャンスを逃してしまいました。

入国検疫がザル同然だったことも手伝って新型コロナは急速に息を吹き返し、第1回緊急事態宣言中の国民の苦しい自粛努力はすべて水の泡。   その結果、7月から8月にかけて第1波よりさらに激しい第2波を招いてしまったのは、皆様ご存じの通りです。これを安倍政権の「失政」と呼ばずに、何とよぶのでしょうか。

未だに続いているPCR検査抑制政策

新規感染判明者数がやや下火になっている今の内に大規模なPCR検査と強力な追跡調査を実施して無症状感染者を洗い出して隔離すれば鎮圧できるチャンスなのに、政府は絶対にやろうとせず漫然と放置したままです。全国のPCR検査数も1/14(金)の90776件をピークに減り続け、2月末には1週間平均4万件程度にまで減少しています。

政府や厚労省、感染研関係者は、PCR検査が拡大されるとすぐに死んでしまう病気にでも罹っているのでしようか。                一般国民がなかなか行政PCR検査にまで辿り着けない状況が続いているのに、図々しくも自民党国会議員とその家族のPCR検査だけはこっそりやるという見事なダブルスタンダード。(自民党本部職員全員のPCR検査は既に実施済みか?)

空港検疫もいまだにPCR検査より格段に精度の低い抗原検査のまま。これでは、「新型株さん、いらっしゃい。」と言っているようなものです。

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日本の新型コロナ統計は信用できるか

もっとも、新規感染判明者数が減っているとは言っても、蔓延が激しい自治体では保健所業務がパンクして家族以外の濃厚接触者の追跡調査を放棄しています。

感染判明者周辺の無症状感染者を放置しているため、日々の新規感染判明者数の統計が低く出ている可能性があります。濃厚接触者を追跡調査せず放置しておけば、発表される数字は下がるのが当たり前です。        放棄したことを公式に認めているのは神奈川と東京だけですが、大阪や千葉等の実態も似たようなものでしょう。

神奈川や東京と正反対のスタンスをとっているのが、埼玉県の大野知事。「埼玉は一度も積極的疫学調査を諦めたことはない。1週間とかかかったことはあるが、絶対に諦めるなと。」と明言しています。

日本の新型コロナ統計は、イギリスの理工系名門大学ICL(インペリアル・カレッジ・ロンドン)やワシントン大学のIHME(保健指標評価研究所)からデータ過小偽装を疑われているそうです。これらの研究所は、日本の統計は感染者実数の1/5から1/2程度しか反映していないと指摘しており、日本を統計偽装国家とみなしているとのこと。(この件については下にリンクした牧田寛氏の論文の3ページ目を参照ください。)

まあ、日本は厚労省が毎月勤労統計という経済の基幹統計を何と15年間も何食わぬ顔で偽装していた前科がある国ですから。            政権の支持率や五輪の可否に直結する新型コロナの各種統計だって過小にメイキングして偽装しているのではないかと疑われるのは当然のことです。 この一点だけでも最早日本が「先進国」と呼ばれる資格はありません。

「ワクチン戦略」でも政府は無能ぶりを発揮

政府が「神風」のように唯一の頼みにしているワクチンに関しても、いつもの無能ぶりをいかんなく発揮して目も当てられません。

そもそも製薬会社とのワクチン供給契約の詰めが甘く、その後の交渉もいつもの後手後手状態。必要量の確保にも物の見事に失敗してワクチン争奪戦における敗戦が確定。EUの輸出規制も加わり、「ワクチン接種にしっかり対応すれば国民の(五輪に対する)雰囲気も変わるだろう。」という菅総理の楽観的な目論見などとっくに破綻しています。

接種開始がどんどん遅れて、G7で開始できていないのはとうとう日本だけという状態に。追い込まれた日本政府は、何とか格好をつけようとEUに頼み込んでファイザーのワクチンを少量回してもらって「接種開始」をマスコミ総動員で派手にアピール。得意の「やっているふりパフォーマンス」で政府の無能をごまかしているだけ。

政府は、65歳以上の高齢者に対するワクチン接種を4月から開始するとアナウンスしていますが、現在決まっている供給量は試供品程度のお寒い状況。これではいつになったら接種が完了するのか、見当もつきません。

河野太郎をワクチン担当大臣に任命したところでグランドデザインを描ける力量はなく、1年間も失敗し続け、まともな問題処理能力がないことが露呈してしまった厚労省が所管していたのでは、今後もトラブル続出で当初の接種計画が遅れに遅れていくことは必至です。

大体、新型コロナ対策の担当大臣が3人もいる時点でどうかしています。 そのうちの一人は、経済再生も担当しているという二足の草鞋。     わざと権限を分散して、失敗したとき誰も責任を取らなくて済むようにわざと司令塔を不在にしておく作戦かもしれません(安定の無責任体制)。

相変わらず「バカな大将、敵より怖い」を地で行く無能ぶりです。        


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