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Stones alive complex (Andesine)


絶大な存在感でアンタッチャブルさを醸した甲冑を、両肩に装備するマインドブロッカーが言う。

(ふいの急激な眠気はな。予兆や)

(もうひとつのシナリオとか、前代未聞のドラマ展開とかがな、まさに組み込まれようとしてる予兆なんや)

ブロッカーの甲冑は、精巧な彫刻と金属細工で飾られている。よく見ると、これまでの願望が絵巻物として彫金されているようだ。

「アップロードしてしまった願望を、不本意なものであっても容赦なく現実へフィードバックさせるのは、なぜに?」

(不本意なもんやからや。
ふほふほふほん・・・
正直、本意不本意ちゅうのは関係ないねん)

ブロッカーの右腕は肩までが、CG。
左腕は肘までが、リアル。

その中途半端な予算のかけ方の謎も含め中身のプログラムを見極めてやろうと、甲冑を外してやろうと、眠気を我慢しながら掴みかかっても。
誇り高そうな騎士の身構えから、縦にくるくる回してから繰り出されるネコパンチの連打と横にくるくる回してからのネコガードで防御され。そのふところにあるこいつのなんらかのなるたるかの持論へ触れられない!

(押してもアカンなら、聞いてみいや!
声紋チェックパスワードを関西弁で!
『開けゴマ!』を、
『開かんかーい! ゴマみそずーい!』
みたいに・・・)

関西人を肉眼で一度も見たことないニセ関西人が真似してる、関西弁のイントネーションとスベリであってもパスが通りそうだ。

確かにあの日以来、
DNAキーは・・・茶壺に追われてる。

ズボンの左ポケットの後腐れない企みの膨らみは、後々まで誰にも気づかれないだろうか。

(当たりのキーが三本が貯まったら、ほんのりフローラルな香りのカルチャーショックが鼻腔にツンとするねん。それをもって解錠当選の発表に代えさせていただきますでぇ!)

ひとつのマインドブロックは最低でも二、三個のオプションキーが複合されて施錠されてるものらしい。
いっこ挿して開かなかったとしても、諦めてはいけない。穴があったら入りたい気持ちで穴へキーを差し込み続けろ。

まずは、マインドブロックを外したくないというマインドブロックから解錠する段取りがナイス。

もっとナイスなのは。
マインドブロックなるものが自分にも存在していると知りたくないマインドブロックを解錠することがナイスナイス。

もっともっとナイスなのは。
マインドブロックなるものがなぜ存在しているのかという根本の真髄を知りたくないマインドブロックを解錠するのがナイス×3。

(いちばん目立ってない主役っていう妙な気分は、楽しくもあるねん)

主役が中盤まで登場しない伏線張りすぎたドラマみたいにするのはやめて!
終盤で、風呂敷を畳むのに往生する。

それでは一直線にパスワードを発表する。
「せやでけったいちゃうちゅうねん、しらんけど」

すると、ネコガードが下がった。

(アファメーションちゅうのんは自分らのお国言葉で唱えへんと、産まれの魂んとこまで届かへんねんで!)

その秘密を護衛してる騎士の身のかわし方を伝えるという意味では、小説それ自体も登場人物おのおのがまとうマインドブロックどうしが絡み合う様相を描写するジャンルかもしれない。

(おわり)

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