おおよその見立てどおりだった。
ガルーダと酒呑童子そして清姫が備えてる妖怪技には、パワーバランスの再設定だけでオッケー。
だが、あっちの御仁にはそれだけでは足りない。

（やんちゃな霊力だけがチャームポイントのこやつらとは、ＭＰのカテゴリーが違う。あいつは、ガチもんの怨霊なのだから）

亜火ノ聖命はスカイツリーにもたれ、こんこんと居眠りをしている平将門を、不二山越しに凝視した。

（理念統制が効きさえすれば。将門は今回のミッションでは、いっとう使える要員とも言える･･･
個人的な、ではなく、意識高い系な政治的怨念の持ち主ゆえに。
なんせ相手は我らの集合無意識に巣喰い、古くから吸血してきた精神捕食者どもの想念･･･）

着物の懐へそっと手を入れた聖命は、

（被捕食者として創造された我らは、時代の終着点が裂く隙間から具現化してくる捕食者と、数世代ぶりに直面する）

腹のあたりをさぐり、用意してきたレアな宝具を探し、

（被捕食者どおしが繰り返すぬるい食物連鎖のはるか上位の次元から見下ろす、真の捕食者どもと）

あれ？あれれ？
見つからないので、あちこちまさぐり、

（低次元生命体へ生存葛藤を与え、分泌する感情をすすりエネルギー源としている、この宇宙牧場の創造主）

探し物が背中へまわってるのに気づき、

（今回、そいつらの小指くらいには一矢報いること、はたしてできようか？）

自分を情熱的に抱きしめてるような変な格好になりながらも、聖命はなんとか宝具を取り出した。

（ふぅ･･･あった！
将門の陰謀論的に扱われてた怨念を、
正当な勝訴へまでアップグレードさせる宝具！
しつこく流行りに乗っかってるこれぞ、
全球中の玉！）

その球を安穏と見つめる。

（おわり）