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【わたしの心の中の5人の子(5)】A - 論理子さん

Aの特徴

【 A 】論理的な大人(論理子さん)
論理的な心。現実を重視しており、知的で計算力が高く、聡明で頭脳明晰で合理的である。この部分が低いと、非合理的な性格になる。

Aが強い人の特徴

客観的な知識や材料に基づき、合理的・冷静にロジックに基づいて判断できる。
あまり「効率」のみを重視すぎると「冷淡で人間味にかける」と思われることもあるので、「人間味」とは何かを補填しながら運用できるとより良い。

強い人の論理子さん

Aが弱い人の特徴

直情的で直感的。奔放でコントロールされていない状態。
いろんな知識やロジックに雁字搦めにされていない状況なので、瞬時の判断力があったり、感情のありのままを伝えることができることもあるが、根拠の薄いその場の感情に振り回されることも。

弱い人の論理子さん

わたしの中の論理子さん(A担)はこんな子

エゴグラム:Aスコア = 14/20  … やや強め

イメージとしてはちょっと大人の秘書さん。みんなの頼れるまとめ役。
「その判断が合理的か?」を見て他の4人との私の心の中会議を先導している。頼れるシッカリさんだけど、疲れていたり気持ちが泡立っていると他の4人の感情的な意見に流されがち。
基本的に論理的だけれど心の中の4人(と心の外で起きている事)の調整が役目だけど、必ずしも自己啓発本のようにロジカルとは限らない。時には柔軟に、科学的なだけでなく文学的な視点も取り入れたり、様々な形で「べき」を外す柔軟さを持っている。
ジャンルを問わず、本や音楽、芸術などから見聞を拡げ、いい影響を受け続けることが何より彼女の栄養。ネットニュースはジャンクフードなので少し距離を置いている。
 
好きな食べ物はクリスプサラダワークス。仕事中の音楽はミニマルテクノ。

思うことコラム

Aはあなたの中の調整屋さん

エゴグラムは
・「親」を表層するCP・NP
・「子ども」を表層するFC・AC
・「大人」を表層するA
の以上3つに分けられた後、それぞれを細分化して5つのカテゴリで心を分けています。それにしてもこの区分、「親」と「子ども」が対になるのはわかるとしても、その間にある「大人」って何だろう?となりませんか。

「大人」の部分を鍛える…なんだか曖昧で大きいテーマのように聞こえます。大人になるってどういうことだろう?コスパやタイパを追求すること?自己啓発本を読んでしごでき会社員になること?他人に冷淡に利益を追求できるようになることだけが大人になること?…いやいやそんなわけは…

この疑問については、精神医学の祖、ジークムント・フロイトが提唱した精神のモデルを例に挙げると少し見えてくるかもしれません。フロイトは精神を「超自我」「自我」「エス」3つに分割しました。

超自我と自我とエス

まず「超自我」理想やビジョン、価値観を司る部分です。人を生まれ育った環境の中で「こうありたい」「こうあるべき」という感覚を周りから教わり育んできます。日常的な話でいえば「ご飯を食べる時は肘をつくべきではない」とか大きな話でいえば「弱い者には優しくしよう」であるとか。あるいは「30歳をすぎたら結婚しなければいけない」とかもそうでしょう。そうした条理不条理はさておいて、様々な価値観を蓄積して人は育ちます。そして、その大半は家族…父と母から受け継いでいるものでしょうし、そうでなくてもこうした、価値観自体が自分の父や母のように常に価値判断に影響していることでしょう。つまり、超自我はエゴグラムのCP・NPに該当します。

一方「エス」は言ってしまえば「むき出しの潜在意識」です。「これをしたい」「これをしたくない」「すき」「きらい」「こわい」などなど。実際の行動にはでないものの、直感的に感じている素直な気持ち。自分の中の子どもの中からあるドロドロした直感的な「無意識」。基本的に社会生活をしていて、あまり初対面の人などに自分から意識的に出さない部分。こちらはエゴグラムのFC・ACに該当します。

この「超自我」と「エス」という、時に相反する自分の間でどちらにも引っ張られながら調整役を担っているのが「自我」です。あるべき理想や世の中のルールはわかる。でも自分の直感や能力的にはこう。建前、本音。さてどうしよう。もっと言えば自分の内側だけでなく、外側で起きている世間様との調整もある。こうした葛藤を論理的に整理していくのが「自我」。これがAに該当します。

“葛藤のイメージ”

一般的にAを育てるには、例えば客観的な思考を取り入れたり、現実的・具体的な思考を整理していくことが必要、と言われています。
つまるところ、自分の内なる感情にただ流されず、周りと、あるいは自分の中で折り合いを付けながら調整する力を育てることが必要…ということ。ですからAを育むには「ビジネス本」や「自己啓発本」と呼ばれるコーナーに足を運んで、自分が気になるテーマの一冊選んでみるのがまず第一歩かもしれません。社会マナー、スケジュール管理、コミュニケーション術、物事の順番の付け方…などなど、Aに必要なマナーや知識がたくさん詰まっています。まさに「大人になる」ための知識。

ただ…ここからは個人的な意見なのですが…Aを育てるにはこうした「自己啓発本」に拘らず、もう一歩踏み込んで知識を蓄えられると良いな、という思いがあります。以下、心の病に関する本から一節を引用します。

「たとえば道徳の授業では、『共感』する能力が強調されますが、それは『やさしい気持ちで人に接すればいい』という話ではないのです。ちゃんと『知識』をもったうえでないと、他者に対して想像力を働かせることはできないし、『やさしく』することもできません。」

『心の病気ってなんだろう?』松本卓也

「共感」はまさに周りと折り合いをつけながら判断するための一つの能力です。「優しい気持ちで接しよう」とする管轄どちらかというとはNPの領域ですが、それを活かすための「知識」を取り入れるのはAの力も必要かもしれません。

さて、では、ここでの「知識」とはどんな内容を指すのでしょうか。アドラー?ドラッカー?エッセンシャル思考?積み立てNISA?…それが生きる場面もあるかもしれませんが、なんかちょっと違う気がしますよね。具体的にこの場面で求められるのは「他者に対する想像力」です。

じゃあ「他者に対する想像力」は何処から学べるか?…といえば様々あるでしょう。時に弱い立場に苦しむ人が書いたエッセイかもしれないし、時に大昔の哲学者や宗教学者が定義した「善」についての考え方に寄るかもしれない。あるいは、誰かがふと書いた詩や音楽、映画やアートに表現された気持ちが貴方や誰かの言葉を代弁してくれるかもしれない。
そうした本は「自己啓発」の本と違って「解決の方法」を必ずしも直接教えてくれません。ただ、誰かの…あるいは自分の気持ちを「代弁する言葉」をきっと教えてくれます。
そういった本から自分や周りの気持ちを言い表せる言葉が、表現が増えていくと、より柔軟に、より適切にやさしく周りと調和していくAを育てていくことができるんじゃないかと、私は思っています。

身に付けた「言葉の数」「表現の数」が多ければ多いほど、「べき」や「白黒」や「敵か味方か」の決めつけ2極化から離れて、多彩な気持ちの渦巻く状況にそのまま向き合い、理解し、受け入れることができる力につながる。あるいは、自分の「弱さ」のように思えていた部分さえも「愛おしく」思えるようになるかもしれない。 

言葉を増やす為には、様々な体験をしたり様々な人と腹を割って話すことももちろん効果的、それはそれでぜひやってほしい…のですが、過去に同じことを考えた人から借りてくることが一番手っ取り早い。
つまり本。医学・社会・宗教・哲学・人文、そして自己啓発。漫画やアニメだって悪くはない。様々なジャンルの書棚に横断的に興味を持ってみてください。最近は中高生向けに書かれた専門書もたくさん出ています。

感情や身の回りの出来事に関して、豊かな言葉を集めることがあなたのAのコントロールの精度を高めること。自分なりの表現をたくさん集めて、他の4人や自分以外と物わかりよくお話できるようになると良いですね。

Aさんにおススメの副読本

柳沢教授は行動経済系の経済学者。「経済」というとお金儲けのイメージだけど、柳沢教授の興味対象は「人間」。なぜ人は怒るのか。なぜ人は誰かに惹かれるのか。そんな大学や日常生活で起きる当たり前のつぶさな人間ドラマに学問的理由を求めて見つめては一人納得して感動する。気楽に読める一話形式で、じんわり心にも染みるのでお勧めです。私の心の教科書。


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