周庭氏の「霊言」を報じた罪

当該記事の引用は控えさせていただきますが、幸福実現党が、香港民主化運動家の周庭氏の「霊言」を「幸福実現NEWS」に掲載した件について、少しだけ触れておきます。

私はあらゆる信仰は自由だと思っています。そして、霊言や霊界というものが存在するかどうかは、私には実感できていない以上わからないという立場しか取れません。ですから、少なくとも宗教体験としてそれを実感した方が、その存在を信じることについては、信仰の自由として尊重します。

その体験に共感できる方々がそれを共有し、自らの行動規範とすることも自由でしょう。ただし、その信仰に基づく行為が、仮に現実の社会の法律や社会規範に大きく逆らう事態を犯した場合は、信仰とは別の次元で、現行の法律で裁かれねばなりません。宗教的な価値観や信仰を政治の場に持ち込む場合も、現実政治のなかでの効果や影響を冷静に判断しなければならないはずです。

今回、100歩譲って、幸福の科学の教団内の議論として、周庭氏の「霊言」が語られるのならば、それはまだしも信仰のレベルと言えないこともないかもしれません。しかし、今回は、幸福実現党という、日本国の政党の機関誌として掲載されたものです。

だからこそ、中国共産党はこれを悪宣伝に使おうとしたのです。「周庭は日本の『政党』の機関誌で、日本国の軍事的支援を要請している」というアピールができたのです。そしてネットそのほかを使って、「周庭は日本から金をもらっている」「怪しげな宗教を信じているらしい」といった話題を振りまくかもしれません

現段階では、実際の周庭氏のインタビューではなく、あくまで「霊言」であるとして訂正されているようですが、このような印象捜査を中国共産党がどのように巧みに行い、情報が管理されている中国国民に悪しきイメージを振りまくか、それこそ中国共産党党相手に闘っている人たちなら知らないはずはないでしょう。

しかも、「中国政府も霊言の存在を認めた」などという言葉すら見受けられますが、ご存知のように、中国共産党は、宣伝に利用できるものはみんな利用しますよ。怪しげな占いを共産党幹部まで信じているという話もありますよ。さらに言えば、かっては偽のパンチェン・ラマをでっちあげて本来の活仏を幽閉し、これからは偽のダライ・ラマ法王を建てるかもしれないじゃないですか。それを指して「中国政府もチベット仏教を認めた」などということはできないでしょう。

周庭氏の例えば個人的な歴史観や政治的な意見のすべてが、私にとって賛同できるものかどうかはわかりません。しかし、いま私にはそれには関心がない。関心があるのは周庭氏をはじめ、香港人たちが独裁体制と正面から対峙していることであり、この戦いはもしかしたらアジアの未来を変えるほど重要なものだという点だけです。ですから、今のところは安全圏にいる私たちが、危険な最前線にいる彼女たちの足を一ミリでも引っ張るようなことをしてはならないはずです。

最後に。幸福実現党関連の人たちが、中国の民族問題や民主化運動に様々な支援をしてきたことはわたしなりに知っています。おそらくデモとかでともに歩いたこともあると思いますし、集会でそのような方々と接したこともあります。

これは、二次情報ですし本人に確認を取ったわけではありませんが、ある場所で接した党員の方が、今回のニュースについて、これは問題だ、間違ったことだと悩んでおられるということを人づてに聞きました。そのような方がいることに逆に心から安心した次第です。

#香港 #周庭 #幸福実現党

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