2018年と、これからの話をしよう。

「若いうちにアメリカに行った人は、その後、人とは違った人生を歩んでる気がする!」

そう言って、フィラデルフィアのコミコン(※アメリカで開催されるオタクイベント)に参加したのが、4年前の2016年。当時26歳の公務員。
渡米の目的は単純に「ハリウッド俳優に会いたい!」というだけだったが、冒頭に書いたことは、大学生時代からうすうす感じていた。

4年後、現在の私は公務員を辞め、主にフリーランスのwebライターとして日々の収入を得ている。
「人とは違った人生」になっているかはわからないが、少なくとも「今までの自分だったらありえなかった人生」にシフトしたことは間違いない。

真面目な優等生だった私は、親に叱られない方法も、教師に良い評価をもらえる方法も知っていた。
成績は飛び抜けて素晴らしい、というわけではなかったが、赤点を取ったことは人生で一度もなく、なんでもソコソコ器用にできた。
(あいにく、この魔法は、大人になるにつれ解けてきてしまうのだが。)

私は、進学校の高校、評判の良い大学、新卒で公務員就職と、いわゆる「安定した人生」を着実に歩んできた。
他人から見れば、「順風満帆」と評価される人生だったと思う。

しかし一方で、「起業した友人」「世界一周をする人」「ネット界隈で有名になった人」などに憧れを抱いてきたのも事実だ。

結果的に私は、30歳を前にして、「安定」のレールから降りた。
大きな理由は「こんな職場環境にいたら、心も体も壊してしまう」という危機感からだった。
退職にあたり、それなりに精神的ダメージは喰らったけれど、まったく後悔していない。
本当は、もう少し早く決断できていればよかったけれど、「遅すぎなくてよかった」と安心している。


「人生は電車に乗っているようなもの」

常々そう考えている。
電車は始発駅を出て、終着駅に向かって走っている。ときどき停車はするけれど、後戻りはしない。

電車は、途中でいくつかの駅に停車する。
その際、乗客は自分の目的地に合わせて、乗り換えが必要なことがある。
今乗っている電車の最終駅が行きたい場所と違ったり、途中で特急や新幹線を捕まえられたりするからだ。
もちろん、乗り換えなくなって構わないが、はじめから自分の目的駅に直行する電車に乗っている人は、存外少ないと思う。

私の場合、一度目の乗り換えは成功した。
友人や知人が乗っている電車を見送り、私はひとり、下車駅で時刻表を眺めていた。
下車駅では「田舎フリーランス養成講座」をやっていたので、そこで勉強しているうちに、次の電車がやってきた。そして、私はそれに乗り込んだ。

さて、乗り換えた電車の中には、公務員時代では考えられなかったほど、色が溢れていた。
いろんな人が乗っていて、楽しそうに話している。
どうやら、私と同じように違う電車から乗り換えてきたばかりの人や、次の駅で特急に乗り換える人もいるようだ。

私はホッとし、車窓から綺麗な景色を眺めていたが、どうにも外の様子がおかしい。
なんと、霧が出てきたのである。
電車内の案内表示も、文字がぼやけていて読めない。
地図を出して開いてみたが、乗り換え前の電車ではそれなりにはっきりしていた地図が、いまや薄ぼんやりとしていた。

そこでようやく、自分が行く「最終駅」が決まっていないことに気づいた。
しかも、今乗っている電車が、どこへ向かっているのかがわからないのだ。
目的地が決まっていないものだから、このまま乗り続けていいのか、どこかで乗り換えるべきなのかもわからない。
困った。

ここまでが、2018年の話。


2019年は、自分の目的地を決めて、そこへ向かう年になるはずだ。
それまでは、今の電車の中で色々考えたり、人と話したり、スキル磨きをしたりする。
多分、そう遅くならないうちに、次の駅が現れる。
そして私は、多分そこでまた乗り換える。

現時点ではまだその駅の名前すらわからないが、少なくとも、4年前の自分には考えもつかなかった駅に立つことになるだろう。

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