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サン・ファームのりんご目ぞろえ会に行ってみた!

長野県でりんごを栽培しているサン・ファーム。
10人のメンバーで農薬の使用を減らした栽培を行っています。若手多く活気のあるりんごの生産者グループです。

毎年、りんごの品種ごとに「目ぞろえ会」を開催しているそう。
「目ぞろえ会」ってなんだろう?ということで、取材に行ってきました!

りんごの目ぞろえ会って?

目ぞろえ会とは生産者さんが農作物を出荷する前に、重さや形などの規格を確認する会のこと。

アイチョイスでは、1つの農産物に対して複数の生産者が出荷します。
目ぞろえ会で決定した規格に沿った農産物を出荷することで、組合員さんに品質の保たれたものをお届けできるのです。今回は11月から収穫が始まる「ふじ」という品種の目ぞろえ会にお邪魔しました!

まずは畑の巡回へ

目ぞろえ会の前に、各メンバーの畑を見て回るとのことで、(みっくすなっつ)編集部も連れて行ってもらいました。生産者さんのお話によると、各畑ごとに生育環境はまったく異なっているようです。

たとえば、長野県を流れる千曲川に近い畑は川からの霜に当たりやすく、国道沿いの畑はムクドリの被害に遭いやすいなど、各畑によって悩みはさまざま。だからこそ、目ぞろえ会で規格を決めることが重要なんですね。

共通の悩みは、凍霜害(とうそうがい)や高温、そして水不足の被害。
とくに今年は被害が大きく、例年通りの栽培ができていないようで、「大打撃だ」とおっしゃっていました。

変形果
ダニの被害

りんごの凍霜害とは、4~5月ごろに発生する遅霜による気象災害です。りんごの開花のタイミングで霜に当たることで、花が咲かなかったり、受粉がうまくできずりんごが傾いたような「変形果」になってしまいます。

霜による被害は他にもあり、りんごの実が霜に当たると、果皮の一部が茶色っぽくまだらになる「さび果」と呼ばれる状態になることも。このように霜は収穫量にも大きな影響を与えます。とくに霜は地面に近いところに発生しやすく、樹の下方の果実には注意が必要です。

りんご栽培の被害は霜だけではなく、果実の表面の温度が高温になることで、果皮が白くなったり腐ってしまう「日焼け」や、水不足による生育不良なども発生しているようです。

さらに、サン・ファームのりんごは農薬の使用回数を削減しているため、ダニや菌による被害も受けやすくなっています。農薬を散布するタイミングがとても重要で、作業が1週間遅れただけでダニが広がり、葉っぱが黄色くなってしまう事態に。

農薬削減のため、ダメージが出てからは農薬が使用できず、被害を止めるすべがなかなかありません。

目ぞろえ会スタート

重量の測定
硬度の測定

りんごの測定

さて、各畑を回ってからようやく目ぞろえ会のスタートです!
まずはりんごの重さを測ります。
ふじの重量は300~400gくらいが平均といわれている中、300gを超えた人は1人だけ。今年は小ぶりなものが多いため、りんごの出荷基準を190g以上(※)としました。

その後、各畑から持ち寄ったりんごの硬度・糖度・食味・蜜の有無・着色も測定します。これらは出荷基準にはなりませんが、今年のりんごの出来や生育具合を把握するのに役立つんだとか。

まずは、硬度。硬度は、熟度や収穫時期の目安となります。
陽光面(日の当たっている面)の硬度は12.5~22.0lbs(ポンド)と幅広い数値でしたが、そろそろ収穫が始められるくらいに成長している畑もあるようです。

※お届けする際の1袋当たりの重量は変更ありません。

糖度計で測定
蜜入りの確認

続いて糖度の測定。
りんごを包丁で切り取り、果汁を絞ります。
昨年のサン・ファームの平均糖度は15.6度でしたが、今年は16.1~18.4度と高い結果に。

りんごの栽培方法には、果実に袋をかけて育てる「有袋栽培」と袋をかけない「無袋栽培」があります。サン・ファームは袋をかけずに栽培することで、太陽の光をたくさん浴びて育つ「無袋栽培」を実施。「無袋栽培」のふじは「サンふじ」と呼ばれ、甘みが強いのが特徴です。

最後に、りんごを半分に切って蜜入りの有無を確認しました。
充分に蜜が入ったら収穫の合図。いくつかのりんごの蜜入りを確認することで、収穫まであとどのくらいなのか目安となるそうです。

出荷基準の話し合い

さびの基準
変形果の基準

いよいよ、出荷基準の話し合いがスタート。
着色の程度・キズ・つる割れ(※1)・さび(※2)・変形などの出荷できる基準について協議します。持ち寄ったりんごを、可・不可・不揃い等に分けていくのですが、今回とくに難航したのが、「さび」と「変形果」の出荷基準でした。

霜害の影響でできてしまった「さび」は、成長しても消えることはなく、茶色っぽくザラザラとしています。しかし、これば見た目の問題。味に問題はないのですが、なかなか消費者に伝わらないのが現状です。

「変形果」も同様に、見た目が悪いだけで中身に影響はありません。「見た目もきれいなりんごを届けたい」「しかし形が悪いものをすべて排除しては出荷するりんごがなくなってしまう」

そんな思いがぶつかって、どこまで出荷可能なのか話し合いが白熱し、一時中断になるほどでした。

※1りんごのつるの付け根に亀裂が入る現象。
※2りんごの果皮が茶色っぽくざらざらとなる現象。

サン・ファーム 浦野さんに聞いてみた!

サン・ファーム 浦野敬一(うらのけいいち)さん

浦野さんはサン・ファームで2番目の面積を誇るりんご畑で栽培をしています。
サン・ファームのメンバーの中で、浦野さんがメインとなってアイチョイスに出荷してくれているんです。そんな浦野さんにりんごについてインタビューしました。

ふじの特徴は?

編集部:ふじの特徴はどんなところですか?

浦野さん:甘みと酸味のバランスが◎果汁も豊富で、香りも良いです。歯ざわりもシャキシャキとしていて、やっぱり生食が一番ですね。

りんごの保存方法は?

編集部:りんごの保存方法を教えてください。

浦野さん:冬場はポリ袋に入れて押し入れにいれてください!(笑)
冷蔵庫よりもおすすめ。暗くて涼しい場所で保存することが大切です。
りんごは水分を失うと美味しさも半減してしまいます。なので、必ずポリ袋に入れてくださいね。

組合員さんへメッセージ

編集部:組合員さんへメッセージをお願いします。

浦野さん:凍霜害や高温、水不足などの影響で、見た目がいい・・・とは言い難いです。でも味には自信があります!美味しくかつ安心して食べてもらえるものを今後もお届けしたいですね。規格外のりんごはジュースやジャムにしているのでそちらもぜひどうぞ。

「より良いものを届けたい」という想いがつまったりんご

わたしたちが安心してりんごを食べられるのは、天候に左右されながらも農薬を削減して栽培しようと取り組む、サン・ファームのみなさんの努力あってのことだとあらためて感じました。

生産者さんにとって、出荷基準は売上に直結するため死活問題です。
「今年は出来が悪いから」と基準を緩めてしまうのは簡単ですが、「組合員さんへより良いものを届けたい」という想いから目ぞろえ会で白熱した議論も見られました。

売上と品質が担保できるギリギリのラインを求めているからこそ、皆ここまで真剣になるのだと思います。そんな現場に(みっくすなっつ)編集部は圧倒されっぱなしでした。

アイチョイスでは、8月の「夏りんご」からスタートし、「紅玉(こうぎょく)」「秋映(あきばえ)」「王林」そして、2~3月頃の「ふじ」までりんごを販売しています。

さらに、2023年度から規格外のりんごを「産地応援りんご」として販売することに!形や品種がバラバラのりんごがセットになったお買い得な商品です。

こういった形で農家さんを応援できるのもアイチョイスならでは。
ぜひお気に入りのりんごを見つけて食べてみてくださいね。

👇この記事を書いたのは

※こちらの記事は、2023年12月22日「みっくすなっつ」に投稿された内容です。

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