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一級建築士を持っているだけの凡人がいきなり設計部になった話♯2「構造設計者の仕事とは」

というわけで、4月から設計部に配属になりました。
(前記事▷一級建築士を持っているだけの凡人が、いきなり設計部になった話|miy #note  https://note.com/miy199/n/n61f82ee4a0c7
気づいたらもう半年経っていました(焦


設計部と一言で言っても、ゼネコンの設計部には意匠・構造・電気・設計 と大きく分けて4つの部門があります。
一般に「設計」と聞いて1番初めに浮かぶのは
建物の形を描く、意匠設計です。

しかし、大きな建物になればなるほど
上記それぞれのプロフェッショナルの力を合わせることが必要になってきます。

中でも構造設計者とは一言で言うと
建物が倒壊しないように建物の骨組みを設計
するプロ。
建物が倒れないのは当たり前だと思いますか?
そんなことありませんよね。
シルバニアファミリーのリスさん用のおうちを建てている訳ではなく
人間が生活するためにコンクリートや鉄骨を使って建てるのですから。

そんな構造設計者の仕事について、
今回はゼネコンの構造設計という観点から「監理」の仕事について、ゆるりとご紹介したいと思います。
(ゼネコン以外にも構造設計者の仕事はたくさんあります。)




構造設計者の仕事には、骨組みの設計の他に「監理」という仕事があります。
監理とは、ざっくり言うと設計図通りに現場が出来ているかをチェックすること。
鉄筋コンクリート造の場合は鉄筋の種類や配置、コンクリートの出来はどうか…とか
鉄骨造の場合は部材の形や溶接の様子、傾いてないか…とか。

建築業界というのは
何十メートル、何百メートルといった大きな建物を建てるのに
設計値や管理値はmm単位です。

「杭が80mmズレてます」
「鉄骨が15mm傾いています」
「柱の大きさが5mm小さいです」

シビアな世界だな…と常々感じます。
まぁ人間の単位で言えば1°傾いたところにいるだけで体調不良を訴える人も出てくるらしく
繊細で過敏な人間にとってはそこまでの精巧さを求ざるを得ないのも分かる気がしますね…。

そして日本では特に地震が多いことから、数十年に1度起こるであろう大地震まで想定して
構造計算をしなければいけません。



ある意味人の命を預かる仕事なので
「数値の余裕を持った計算をすれば安心でしょう」
と思うかもしれませんがそういうわけにいかない理由がありますのでいくつか上げてみます。

まず、デザインとの兼ね合いです。
建物はただ建っていれば良い訳ではなく、そこには必ず生活する人が関わってきます。
住む場所だったり、働く場所だったり、誰かと時を過ごす場所だったり。

梁を小さくして天井を高くしたい
柱を無くして広々とした空間を作りたい
窓をもっと大きくしたい

デザインする人の想いや使う人の快適さ、
はたまた建築基準法など
構造設計にも大きく関わってきます。


次に、コストです。
お金が無限に湧き出て来るのなら良いのですが
まずそんなことありませんし、
他社との競走であれば安い方がいいに決まっています。

余裕を持たせた構造は安全ではあります。
しかし、構造設計で余裕を持たせると言うことは
部材が大きくなるということで
部材が大きくなればその分コストもアップします。

適切な余裕(安全率)を持ち
合理的でバランスの取れた建物が
1番コストも低く抑えられることになります。

この2点が、安全率の見すぎは無理だよ…といった理由です。
まぁ他にも建築基準法やら基準書、工事の兼ね合いなどいろいろあるのですが。


そんなこんなを検討しながら、様々な人が関わり建物ができていく。
そこに重要な役割を持つのが、構造について技術と知識を持ったスペシャリスト
構造設計者なのです。


大層なことを言いましたが、
自分自身まだ半年ほどしか経験していない(建築業界は十数年ですが)ペーペーですので
少しずつ学んで行けたらと思います。

今回は「監理」の仕事について書かせて頂きましたが、
だれもが憧れる「設計」の仕事についても
後々(説明できるまでレベルアップしたら)書かせて頂けたらと思います。


ありがとうございました。

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