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ひな祭り前夜

ゆるりと たっぷりと
そんな女性に憧れる

ずいぶん昔に買った、丸平の古い三人官女。

足りている顔付きに魅了される。
女に不足は似合わない。

足るを知る知性と、清濁を腹に収める雅量ある姿。

私が嘆いても「それが、どうした?」と言われそう。

泣き言も、綺麗に祓ってしまいそうな清らかさ。
女性への幻想を体現したかのよう。

肌をチラリとも見せないのに、際立つ色気。

私が男だったら「さあ、おひとつ…」と勧められたら、毒の盛られた盃だって飲み干してみせよう。

押しの強い男
引きの強い女

軍配はどちらに?

そんなことを思いながら、お雛様を愛でる私は不埒者。

先ずは、強く、賢く、美しくあれ…と思う。優しさはそれからでも間に合うから。

女は、暮らしのなかで優しさを強要されることが多いけれど、弱く、愚かな自分が優しくあれるはずがない。愚かな優しさは罪つくり。「あなたのためよ…」は呪いかもしれない。ひな祭り前夜に、そんなことを女4人でヒソヒソと語らっている。時代を越えて今ここに居る彼女達はやっぱり、強い…。

 

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