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火花 又吉直樹

発売されたのが2015年。約8年前となる。
当時、活字を大の苦手としていて、150ページ程度の本書も読んでいなかった。
祖母が本書を購入していたのを知っていたので、実家に帰省時に拝借。

読み始めから、ページを捲る手が止まらない。
お笑い芸人の話であるが、掛け合いがテンポよく、会話の言葉も一般人を逸脱している語彙力。
たまに何を言っているか分からない(理解ができない)が、それは私が一般人なだけであり、
2人の会話に遅れないように細かいところは気にしなかった。

この150ページの小説の中に、笑う人生とはと
考えさせられる点が多くあり、なぜもっと前に読まなかったのかと後悔するほどでもあった。

個性が尊重される時代に差し掛かり、
自分が何をしたいのかと問われることも問うことも多くなった。
ほとんどの人(私含め)は、自分のしたいことが浮かばず人生をなんとなくで生きている人が多いだろう。
ただ、お笑い芸人という者は人を笑わせたいという自分の強い欲求で動いている「あほんだら」集団だ。
何が面白くて何が面白くないかなんて、
その人それぞれの感覚でしかない。
ただ、その中でも共通の面白さはあり、
お笑いで生きていこうとする人は、自分のお笑いをしながらその共通のお笑いを探しているのかもしれない。

本書に出てくるコンビ名「あほんだら」の神谷はその共通のお笑いを探さず、自分の面白いと思うものを貫ける人物であった。
例え、それがモラルやジェンダーに反していようが。

本当に良い小説でした。

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