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ビジネスでは「余裕」と「ハングリーさ」の両方が必要

突然ですが、皆さんにとって「理想のビジネスマン像」というのはありますか?お客様1人1人に対して熱心に向き合っていたり、専門領域の知識がとても豊富だったりと、いくつもの特徴が挙げられると思います。

その中で、僕が大事にしているビジネスマン像に「余裕を感じられる」というものがあります。話し方や立ちふるまいがスマートで、お客様に対してがっついてなく、「オーラ」を感じるような存在です。こういう人と話すのは心地いいですし、何より「この人は仕事ができそう。なにかお任せしてみたいな」という心理も働きやすいと思います。

トレーナーにこそ必要な「余裕」の姿勢

この「余裕を感じられる」という特性は、トレーナーにとっても非常に重要なものだと考えています。例えば、パーソナルトレーニング業務ではさまざまな出来事が発生します。

  • お客様が運動・食事共になかなか改善してくれない(日々の宿題をこなしてくれない、食事の報告におそらくウソがある など)

  • お客様の体系改善がなかなか進まなく、原因の特定に難航している

  • トレーニング中のフォームが安定しない

  • お客様のドタキャンが発生してしまった

  • 特定のお客様とうまくコミュニケーションが取れず信頼関係が築けない

  • セッション数が多くて1人1人のお客様とちゃんとコミュニケーションが取れていない

  • 無料体験に訪れたお客様へのクロージングで、相手が難色を示している

こうした事態に対して、余裕をもった対応ができているでしょうか。例えば、冒頭の「お客様が運動・食事共になかなか改善してくれない」という課題に対して、頭ごなしにお客様を糾弾するトレーナーがたまに存在します。確かに、相手は皆さんがお願いしている宿題をこなしてくれていません。ウソをついて困るのは、結局お客様だという点もよく分かります。

しかし、そこで怒りをあらわにするなど感情をそのままぶつけてしまっては、トレーナーはもちろんビジネスマンとしても失格です。大事なのは、なぜお客様が日々の宿題をこなしてくれないのか、その原因を探ることではないでしょうか。

もしかしたら、宿題をこなしてくれなかった期間が非常に多忙だったのかもしれません。食事報告にウソがあったのは、多忙な生活のストレスで食べすぎてしまったけれど、罪悪感で報告できなかったのかもしれません。

その場合、このお客様に必要なのはトレーナーが提示した宿題を絶対にこなしてもらうことではないと言えます。現在の生活リズムを詳しくヒアリングし直して、できる範囲での運動・食事パターンを提示したり目標の再設定をしたりすることでしょう。もちろん、このお客様が3か月後に結婚式を控えていて、決められた期間内で結果を出したい!という場合は、それに応じたサポートが必要だと思います(それでも、頭ごなしに否定したり怒ったりすることが正解だとは思いません)。

こうしたアクションをするのに大事なのは、知識や経験というよりも相手のことを思いやれる心の余裕だと思います。他の問題に直面した時も、精神的に余裕があってはじめて、今の状況を俯瞰して講じるべき対策が思い浮かびます。

ハングリー精神を表に出しすぎるな

一方、ビジネスで成功するには一定の「ハングリー精神」も必要だと思います。意地でも成功するんだ、意地でも目の前にある売上を獲得しにいくんだ。サラリーマンでも経営者でも、ハングリーさが弱いとここぞという時になかなか頑張りきれません。一見温厚そうな人でも、ビジネスで成功している人にはこうしたがむしゃらさがあるものです。

自分にはちゃんとハングリー精神がある。でもなかなかうまくいかない。そう悩む人の多くは、ハングリー精神を表に出しすぎているんだと思います。

例えば、お客様のクロージングの場面を思い浮かべてみてください。パーソナルトレーニングの無料体験に来る人の多くは、お試し感覚でジムにやってきます。この人に大事なのは、限られた時間のパーソナルトレーニングで確かな効果を実感できて、そのジムに通うメリットがあるという確信を得てもらうことです(それがトレーナーとの相性なのか、ジムのキレイさなのか、アクセスのよさなのかは分かりませんが)。

ハングリー精神が表に出すぎている人は、とにかく熱さ全開の接客になりがちです。その様子に「この人はすごく熱心に私と向き合ってくれる」と好印象を抱く人もいますが、あまりの暑苦しさにドン引きしてしまう人も少なくないでしょう。

ここで意識すべきことは、余裕を感じられるビジネスマンにも、ちゃんとハングリー精神が眠っているということです。しかし、彼らは目の前のお客様のニーズを探し、そのニーズに応えられるような提案をちゃんとできるからこそ、クロージングに成功しています。意識的あるいは無意識的に、心に余裕を持つことができたことで、ハングリー精神を上手に発揮できるようになったわけです。

まずは今一度、お客様と接している時の自分を思い返してみてください。他には公開しないという条件付きで、お客様とのやり取りを録画・録音してみてもいいと思います。少しでも「地に足がついたコミュニケーションができていないな」「クロージングでものすごく焦っているな」と感じたら、やり方を見直してみましょう。認知行動療法など、自分の精神状態を上手にコントロールするための方法を学んでみるのもありです。ハングリー精神と心の余裕を両立させた、かっこいいビジネスマンを目指していきましょう。

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