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女性の貧血は大半が「鉄欠乏性貧血」。鉄欠乏のリスクと鉄をしっかり摂るライフスタイル

厚生労働省の調査では、女性の10人に1人が貧血に悩まされているといいます。パーソナルトレーニングなどで女性を見ていると、体感としてはその倍以上は貧血の女性が多い印象です。

貧血にはいくつもの種類がありますが、女性の貧血は大半が「鉄欠乏性貧血」です。なぜ女性に鉄が不足してしまうのか。その原因や予防方法を今回は紹介します。

鉄欠乏性貧血の原因は大きく2つある

鉄欠乏性貧血は、鉄の不足により引き起こされる貧血です。鉄は主に肝臓に貯蔵されていますが、体内に鉄が不足すると貯蔵鉄から動員され、さらに不足が進むと鉄を含む酵素やタンパク質からも動員されます。この過程で、酵素活性や生理機能に支障をきたし、最終的には赤血球の産生が低下して貧血にいたるのです。

鉄欠乏性貧血の主な原因は大きく2つです。

①鉄の摂取不足(食事制限や吸収不良)
②過剰な鉄の喪失(月経過多や慢性的な消化管出血)

ちなみに、開発途上国では寄生虫感染による慢性炎症も原因の一つとされています。

鉄の摂取不足については、ビタミンB12や葉酸の欠乏も、鉄欠乏性貧血に関係があるとされています。ビタミンB12も葉酸も、赤血球の形成を助ける栄養素です。

さらに月経過多、妊娠・出産(経腟分娩、帝王切開を問わず)といった出血を伴う女性ならではの現象は、鉄欠乏性貧血の直接的な原因となってしまいます。

鉄欠乏性貧血が女性の健康に与える影響

鉄欠乏性貧血は、日本のみならず世界中の若年女性に多大な影響を与えています。鉄欠乏性貧血の症状はシンプルな鉄欠乏の症状と似ており、疲労、疲労感、認知機能低下、筋力低下、息切れ、めまい、異食症、不眠、むずむず脚症候群、脱毛などがあります。

これらの症状は、精神的・身体的健康や労働生産性に影響を及ぼします。ある研究では、月経関連症状により女性の約14%が欠勤、約3%が早退、約80%が業務遂行能力の低下を経験していました。

また妊娠中の鉄欠乏性貧血は、低出生体重児、早産、周産期合併症(常位胎盤早期剥離、産後出血など)のリスクを高めます。また、貧血のある女性は、分娩時の出血に対する耐性が低下して危険な状態に陥りやすくなってしまいます。

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