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膝のねじれを理解する。スクリューホームムーブメントと変形性膝関節症

今回お話していくのは「膝のねじれ」についてです。人間の骨の構造上の特徴として、膝にはねじれが生じているというものがあります。これを示す言葉が「スクリューホームムーブメント」です。そして、スクリューホームムーブメントひいては膝の構造を理解することは、トレーニング指導において非常に重要となります。

また、例えば変形性膝関節症に代表される膝の疾患全体を理解する上でも、スクリューホームムーブメントを学ぶことは大切です。今回の話を知ることで、スクワット時になぜ膝を痛めてしまうのか、そのフォームのどの点に問題があるのかを論理的に理解できるようになると思います。

膝のねじれのメカニズム

スクリューホームムーブメントとは、膝関節の伸展と屈曲に伴うねじれのことです。ここで重要となるのが、例えば膝関節が屈曲する際、脛骨と大腿骨がどのように動いているかということ。結論から言うと、膝関節が屈曲すると大腿骨の外旋と脛骨の内旋が起きるのです。

この動作によって、2つの骨が真逆に動く→相対的にねじれが発生するというわけですね。ちなみに、今回はあくまで膝関節単体について説明していきたいので、股関節の動きについては一旦置いておきましょう。

逆に膝関節が伸展すると、大腿骨は内旋し脛骨は外旋します。この説明から分かりますが、スクリューホームムーブメントというのは膝関節の「イレギュラーな動き」ではありません。そもそも正しい膝関節の構造が維持できているのなら、スクリューホームムーブメント、つまりねじれは起きて当たり前なのです。

なぜねじれが生じてくるのかという話でいうと、まず大前提に「膝関節周辺の構造」が関係しています。大腿骨と脛骨のつなぎ目を見ると、大腿骨側には外側上顆と内側上顆が存在し、膝蓋骨(パテラ)があって脛骨・腓骨が付着するという状態です。そして、大腿骨の外側上顆と内側上顆を比較すると、全く同じ位置・全く同じ形状をしていないと分かります。実際には、内側上顆の下部の方が若干大きいのです。

この状態で膝蓋骨を伸展させると、外側上顆側周辺の靭帯はピンと伸びているのに対し、内側上顆側にはまだ余裕があります。靭帯のアンバランスな状態を解消するため、つまりちゃんと膝関節が伸び切った状態を生むっために、最終伸展域で脛骨側に外旋が起こり、内側上顆側の靭帯もしっかりと伸びることができます。これが、一般的にいう「膝のねじれ」の正体です。

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