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スポーツと脊柱の機能

脊柱とはいわゆる背骨のことを指し、椎骨という骨が積み重なり合い、上下にたわんだり、捻れることにより肩甲骨や骨盤を介して上半身や下半身と連動しダッシュ、ジャンプ、スイングなどスポーツでの動きを可能にします。

そのため上半身と下半身の多種多様な動きが要求されるスポーツには脊柱の柔軟性を含めた動きを獲得することは怪我予防はもとより、パフォーマンスアップにおいて欠かせない要素となります。

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しかし、実際のスポーツ現場では大腿四頭筋やハムストリングスなど下半身のストレッチはかなり認知度が高い一方、脊柱のストレッチやトレーニングをしているというスポーツ選手に出会うことはなかなかありません。


この原因として脊柱に対する認識やストレッチやトレーニングなどの浸透していないことが原因にあるのではないでしょうか?


今回はそんなスポーツに欠かせない脊柱の重要性について解説していきたいと思います!


意外と知らない脊柱の役割

脊柱の機能は大きく以下の3つに分けられます。

①脊髄といわれる神経の保護機能
②脊柱を動かす運動機能
③体重を支え、腕や脚を動かす土台となる安定機能

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②と③にあるように脊柱自体が動き、腕や脚を動かす土台となる機能を持ち上半身と下半身の動きが求められるスポーツにおいて欠かせない機能となります。


脊柱の構造的に大きく頚椎、胸椎、腰椎の三つに分けられます。

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脊柱の中でも頚椎と腰椎の中間に位置する胸椎の柔軟性低下は、構造的な安定性欠ける頸椎や腰椎での代償動作を招き、いわゆる首や腰を痛める原因になってしまいます。


身体の成長が著しい年代に頻発する腰痛の中でも要注意なものは、腰椎分離症と呼ばれる腰椎の疲労骨折です。腰椎分離症は胸椎の柔軟性が低下し腰椎の動きが過剰になり発生することが指摘されています。

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|MEMO|腰椎分離症とは
腰椎に対して伸展・回旋の負荷が蓄積することによって発生する疲労骨折。中学生などの成長期の男子に多く発生する。


また胸椎は肋骨とも関節を構成するため、胸椎の柔軟性の低下は肋骨の動きにも影響を与え、呼吸などにも影響を及ぼす可能性もあるため、優先的に胸椎の柔軟性を獲得する必要があります。



獲得すべき胸椎の動き

①胸椎伸展

スポーツにおける胸椎の動きの一つとして、伸展という動きが重要になります。

胸椎の伸展は胸を張るような動きで求められ、背中が丸まるいわゆる猫背の場合には胸椎伸展の柔軟性が低下している可能性があります。

胸椎伸展は野球の投球、バレーボールのスパイク、テニスのサーブなどのオーバーヘッドスポーツはもちろん、ジャンプやランニングなどの重心の上昇や推進などにも求められスポーツには欠かせない動作あると考えられます。


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②胸椎回旋

脊柱の全体が捻じれることによって回旋の動きは可能とあります。しかし、腰椎は回旋には不適切な構造をしおり、腰椎は約5~7°しか回旋することができません。

一方、胸椎は約30~35°回旋することができますが、胸椎の柔軟性が低下することによって腰椎の代償が発生し、回旋の負荷が蓄積することが腰痛につながる原因の一つに挙げられます。

|MEMO|脊柱の回旋角度
胸椎|30~35°
腰椎|5~7°
      【参考 筋骨格系のキネシオロジー】


腰椎の代償をなくすためには胸椎の回旋柔軟性を改善することが求められます。


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脊柱柔軟性セルフチェック

では実際に胸椎の柔軟性がどれぐらいあるのかセルフチェックしてみましょう。

①胸椎伸展セルフチェック

バンザイをして耳の横のあたりにキープしたまま、スクワットを行い腕がつま先より前に出ないようにします。

腕がつま先より前に出てしまう場合には胸椎の柔軟性が低下している可能性があります。

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②胸椎回旋セルフチェック

四つ這いの状態から頭に手を乗せて、胸を開いていきます。頭頂部と肘の角度を測り30°以下であれば回旋の柔軟性低下の可能性があります。

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胸椎可動性改善トレーニング

セルフチェックで柔軟性を確認をしたらのトレーニングによって胸椎の動き(可動性)の改善を図りましょう。

①胸椎伸展可動性改善

❶胸椎伸展ストレッチ

みぞおちを床に向かってち近づけて胸椎伸展の柔軟性を改善を図ります。


➋デッドバグ

仰向けになり、腰を床から離れないように腕を伸ばしてきます。チューブなどがあれば手足に結び付けて強度を上げてみましょう。


➌ラットプルダウン

お尻を後ろに引きながら、股関節を曲げながらバーを上げ下げします。
背中に疲労感が出ていればOKです。


②胸椎回旋可動性改善

❶胸椎回旋ストレッチ

脚を前後に開きながら胸を大きく開いていきます。胸を開いた際に上側の脚が浮かないように注意します。

➋胸椎回旋トレーニング

四つ這いになり片方の手を頭の上に置き、みぞおちから胸を開いていきます。お尻が横に逸れたりしないように注意します。


胸椎伸展・回旋連動トレーニング

胸椎の伸展と回旋を組み合わせた強度が高めのトレーニングです。
片膝をついた状態で、重りなどを持ち、胸を張りながら回旋を行います。



今回紹介したトレーニングの他にも、YouTubeでもトレーニング動画を配信中です!合わせてご覧になってください。


胸椎伸展トレーニング


胸椎回旋トレーニング


まとめ

脊柱の動きはスポーツにおいては欠かせない条件となります。

普段意識し辛い場所だからこそ障害予防やパフォーマンスアップにつなげることが可能になります。

今回紹介した内容をスポーツ活動において活かしていただければ幸いです!

最後までご覧いただきありがとうございました。


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