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逃避行

君なら僕を何処かに連れて行ってくれると思ってた。ここにいたくないと願う僕と、逃避行してくれると思ってた。いつかしてくれたみたいに、これから先もずっと。
僕が望めば望んだ分だけ、君の時間をもらえると思ってた。
でもそんな日々は、続くわけなかった。

逃げて、逃げて、逃げ続けて。
辿り着くは深夜(よる)の海。
もうここで終わりだよ。
優しく告げる終わりの言葉(かね)。君の口から発せられた言葉(かね)の音は、優しく、冷たく、だけどほんのり温かかった。
終わるというのに、淡白な言葉しか言わない君。
君は寂しくないのだろうか。視線を君に向ける。
隣に佇む君は、海を眺めている。
その表情(かお)は安堵に満ちていた。
そうか。君はこの状況からも、この世そのものから逃げたかったんだ。
僕と色んな所に飛び回って、色んなことをしても、この世からは逃げられない。
その上、親が捜索願を出したのか、犯罪も何もしてないのに警察に追われてそれからも逃げ続けて、僕ら2人だけの世界を造りたくてもできなくて、ただ彷徨うしか無かった。
もう逃げることは出来ない。現実と向き合うしかない。

パトカーのサイレンが近づく。
僕らの逃避行は、もうすぐ終わる。
君がこれから先も隣にいるなら、それでいい。
じゃあ、もう行こうか。
君の言葉に僕は1回だけ、深く頷く。
1歩、また1歩。波の音に誘われるように海に向かって歩く。
海へと攫われゆく感覚。

僕らの逃避行は、ゆっくり終焉(フィナーレ)を迎える。
でも、僕らの旅路は、これから先もずっと続いていく。

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あとがき
皆様、こんにちは。三宅詠万(みやけえま)です。
これはなんとなくでボヤっと浮かんできた言葉に肉付けをして生まれたものです。
特に深い意味は持っていません(笑)。
でも、事実日常から目を背けたかったり、逃げ出したい事は皆さん少なからずあると思います。
そんな時は何も考えず、自分の好きな事をして逃避行、してもいいと思います。
というわけで、私も物語を書いたり本を読んで逃避行しようと思います(笑)。
それでは、また。

2023年4月29日
三宅詠万

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