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【連載】三宅島産レモンを使ってみようシリーズ 第0回「三宅のレモン事情について」

 こんにちは、三宅支庁産業課です。
 三宅島では現在、新たな特産品として「レモン」の生産振興を目指しています。マイヤーレモンと比べて、まだまだ島内の生産量が少ないレモンですが、いずれは三宅の新しい主幹作物になると期待されています。
 今回は、三宅支庁の職員の皆様にお願いし、島内産のレモンを使って様々な料理やお菓子を作っていただきました!そこで、「三宅島産レモンを使ってみようシリーズ」と題して、支庁の皆様に作成いただいた料理、お菓子についてご紹介いたします。
 今回は導入編として、第0回「三宅のレモン事情について」をお届けします。
 
<三宅島のレモン事情について>
 三宅島では、大きく分けて2種類のレモンが栽培されています。
 1つ目は「マイヤーレモン(Citrus×meyeri)」

 レモンとオレンジの交雑種であり、皮が薄く果汁たっぷり。グリーン(未熟)の状態では爽やかな香りと程よい酸味を楽しめて、イエロー(完熟)の状態になると酸味マイルドになり独特の芳香がします。こちらはすでに島内で一定量が生産されており、島内の飲食店でも「島レモン」の名称で揚げ物やチューハイにカットして添えられるなどして、愛用されているのをよく見かけます。八丈島や小笠原諸島で生産・販売されている「菊池レモン」は、このマイヤーレモンの1系統だと言われています。

 2つ目は「レモン(Citrus limon)」

 スーパーでも見かけるようないわゆる普通のレモン。皮はマイヤーレモンより厚めで、グリーンでもイエローでもレモン特有の香しい香りと強い酸味が特徴です。現在は栽培を始めたばかりであまり出回っていませんが、今後は少しずつ島内外でも見られるかもしれません。
 
 島内ではすでにマイヤーレモンの生産が行われているものの、東京諸島では先述の通りマイヤーレモンの親戚である菊池レモンの生産・販売が盛んに行われていたこともあり、三宅島では他島と競合しない新たなカンキツの生産振興が求められていました。三宅村と農林総合研究センター三宅事業所での試験栽培などの取組の結果、三宅村では「レモン」を新しい特産品として生産振興していく方針をとっています。
 
 今回、直売所でレモンとマイヤーレモンの両方が売っているのをたまたま発見したので、せっかくなので購入して見た目を比べてみました。
 
 まずはマイヤーレモン。

果皮の色がややオレンジがかっているのと丸いフォルムが特徴です。かわいいですね。

切ってみると中身はこんな感じ。果肉の色は橙色で、確かにオレンジの血が入っているのを感じます。
 
 次に、普通のレモンです。

マイヤーレモンと比べてみると、果皮の色は黄色く、楕円形でお尻の部分が出っ張っているのが特徴です。

切ってみると、まず目につくのは白い皮(アルベド)の部分。マイヤーレモンと比べると明らかに厚いことがわかります。果肉も薄い黄色です。
 
 さらに驚いたのは、どちらも独特のいい匂いがするのですが、レモンとマイヤーレモンでは香りが全然違うことです。レモンは皆様がイメージするような、突き抜けるような瑞々しい爽やかな香りです。一方、マイヤーレモンは爽やかさが控えめで甘みを感じるスパイシーな香りがします。
 
 もちろん、味も確かめてみました。レモンは皆様がイメージする通りの強烈な酸味で、瑞々しい芳香も合わさり、脳がスカッとするような爽やかな味です。単体で味わうより、それこそ「レモン果汁」としてほかの食材と組み合わせて使うことで真価を発揮しそうです。マイヤーレモンは酸味がとてもマイルドで、甘みを感じます。ふくよかでスパイシーな香りも相まって、他の食材と組み合わせるだけでなく、その気になれば単体でも食べられます。一方で「レモン果汁」として使うには酸味や風味が中途半端かな?という印象でした。
 
 今回は三宅島産レモンを使ってみようシリーズの導入編として、三宅島のレモン事情、およびレモンとマイヤーレモンの見た目や香り、味についてレポートしていきました。次回からは、レモンを用いた調理例をご紹介しますのでお楽しみに!
 
※食味や香りについては、著者の主観的な評価である旨、ご理解いただければと思います。

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