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似合っているかは思案の外

黒い服を着がちである。服屋で可愛いと思って最初に手に取るのは、必ずと言っていいほど黒だ。おかげで、黒い服が死ぬほど家にある。母親が「似合うと思って」と買ってきてくれた服もほぼ黒だし、3〜4回受けたパーソナルカラーでは「黒が本当に似合う」と言われ続けてきた。偶然かお世辞かと思っていたが、べつべつのプロの人から同じせりふを三度聞けば、さすがに偶然でもお世辞でもないだろう。

なぜお世辞を疑っていたかというと、わたしは実のところ、自分に黒が似合っているのかいまいちわかっていないからだ。服が可愛いことは見ればわかるし、体型に合っていることは試着すればわかる。ただ黒色が自分に似合っているのかどうかは、鏡を見てもよくわからない。ただ、わからないということは似合っているということなんだろうな、と消去法的に思うのみだ。似合わないことはすぐわかるので。
人に話すときも、黒が好き、とは言うが、黒が似合う、とはほぼ言わない。言ったとしても、受け売りとして話している。よくわからないから。

不思議なのは、他の色ならわかることだ。他の色なら、この青めちゃくちゃ似合うな、とか、この赤はわたしのための色だわ、とか、ちゃんとわかる。ただ黒だけは、他の人から膝を打って「似合う!」と断言してもらうほど似合っているのかがよくわからない。たしかに似合っていないことはないが、普通じゃね?と思うのだった。

翻って、黒は万能ではないことも知っている。わたしにとってベージュ(こちらもオフィスの万能色として名高い)がまったく用を為さないように、黒も誰にでも似合うわけではない。ふだん黒の服を着ていない人がたまに喪服や礼服やリクルートスーツを着ている場面を見ると、成程この人は黒よりもネイビー/グレー/茶色/ベージュが似合う、などと納得したりする。みんな知っていて着ないのだなと思う。

今後も似合っているのかはよくわからないまま、好きだという理由で黒い服を着続けるのだろう。そんなふうに思いながら、ME:Iの推しのAYANE(高見文寧)が着ていたGUのオレンジトップスを買う。色はそんなに似合っていなかったが、推しと同じ服を着たい症候群に罹っているので買った。黒を合わせて着たいと思う。

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