十四番目の月がいちばん好き

月を撮るのは難しい。

きのう、通勤路の橋の上でたちどまって携帯を構えているひとがいたので、そのさきを思わず振り返ったら、たしかに、撮りたくなるくらいのおおきな月だった。
でも、そのおおきさというのは、携帯のカメラ機能ではどうやってもとじこめられない。そのひとたち(二人組の、女性だった)も、うまく撮れないねえ!と言って、笑いあっていた。

月といえば、月明かり、というものがよくわからなかった。住宅街に住んでいるので、街灯とか家の外灯とかがそこかしこにあって、月明かりなんて情緒のあるものはわたしの家の周りにはないのではないか、とおもっていた。

でも、昨夜。そんな鈍いわたしでもわかるほど、月が冴えていた。あかるい。ああこれが月明かりか、とおもった。

わたしはよく空を見て歩く。真夏以外は昼夜問わないが、夜のほうが全体の頻度としてはよく見ている。星と月が好きだから、というのはいうまでもないが、くもりでも雪でも見上げてしまう(雨のときは傘で見えないので見ない)のだから、たんに空も好きなのだろう。

わたしにはいま推しが三人いるが、そのうち、いちばん年上でいちばん顔が可愛い推しが、去年のクリスマスくらいに売っていたとある雑誌の単独インタビューで、「空を見るのが好き」と話していたのをとうとつにいま思い出した。そのとき、ああいっしょだ、と思って嬉しかったのだった。わたしとその推しとはなにひとつ通ずるものや、交わるところはないと思うし、そこが好きなところの一つなのだけど、でも、だれにでもどこかしらひとつは共通点があるのだな、と思って。

と、そんなことを思って寝た今朝、ニュースを見たら、きのうは皆既月蝕だったのですね。どうりで。いや、どういう道理かわからないけど。でも、なんとなく納得した。しかし、月が好きだと言っているわりに、現象には関心がないんだな。

#日記 #エッセイ #月 #生活


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