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読書感想文〜『パレード』吉田修一

吉田修一さんの本でいちばん最初に読んだのは『悪人』だったかと思います。
それからハマり何冊か読んで、どの登場人物も深いというか興味ある人格ばかりで、あれこれとその人達の心の動きを想像しながら読み進んでいきました。大好きな作家さんです。


今日は『パレード』のことを書いてみます。

若い男女4人の共同生活。
それぞれが抱えている事情を周りに隠していたり出したりしながらも仲良く暮らしていた4人。
そんな生活に、近所で起こる連続殺人事件がじわじわと忍び寄り…。

この本、すごく怖かったです。
うまくいっている関係(友人とか)ならお互いの心理的距離は等しいと思ったり、一緒に住んでいる親しい関係なら尚更そう思っていても、実際は相手が取っているであろうと自分が思う心理的距離は自分の想像でしかなく、相手は相手の考えで自分との距離感を取っている…。
考えてみると当然なのですが。
人のそういう冷静な部分や計算高い部分を突きつけられたようなところに、ゾッとした怖さを感じました。

自分に不利益にならないように、いろんな相手との心理的距離を微妙に調整しながら生きていくことができる。
それも人間の能力なのかもしれません。





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