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チンチラ転生 第16話「彼女との別れ」

チンチラ転生~前世でチンピラだったはずの俺がチンチラに転生!こうなったらモフモフな可愛らしさでのし上がってやる!~

第16話「彼女との別れ」


 次の日、俺を迎えにみずきがやってきた。今日は親父さんは居ないらしい。
 おいおい女子高生一人で大丈夫なのか?と思ったが、まあみずきから見たら、アニキたちは普通の夫婦だもんな。
 でも今日はちょっとヨーコの様子が変だ。

 昨日と同じくアニキの隣に座っているが、何故だかやたらとベタベタしている。
 昨晩、アニキはヨーコを追い出すように帰らせていたし、別に付き合っているわけじゃないらしい。
 だから、あれは『フリ』なんだろうけど、ヨーコにとってはそれだけじゃ済まなそうだ。
 ヨーコは厄介なヤツだって、以前にアニキが言っていたなぁ……

 昨晩以来、ゆりちゃんは機嫌が悪くなってしまったのか、自分の家から出てきていない。
 もうちょっとイチャイチャしたかったんだけどな。

「おーい、ゆりちゃんーー 俺、そろそろ帰るけど、元気でなーー」
 ケージの隙間から鼻をだして話しかけると、ゆりちゃんが慌てて出てきた。

「ちっ! ちぅ!! 行っちゃだめでち!!」

 お、おおう。俺との別れを惜しんでくれるのか!!
 モテる男はつらいぜ…… フッ

 もう一度ゆりちゃんにちゅぅをしたタイミングで、みずきが俺のケージを持ち上げた。
「るぅちゃん、お別れ済んだ? おうちに帰ろっ」

 二人に挨拶をしてアニキの家を後にする。
 揺れるケージの中から、腕にしがみついているヨーコをアニキが振り払うのが遠目に見えた。
 アニキ…… 頑張れよ。

 今日の帰りは電車を乗り継ぐらしい。
 チンチラって手荷物扱いで電車に乗れるんだな…… 知らなかったぜ。

 家に帰ったらまたモフスタグラムのチェックをして、みずきの太ももでくんかくんかしないとな。
 俺はそんな風に、平和でのんきな事をぼやーっと考えていた。

 電車を一度乗り継いで、駅の改札を出た時だった。

 突然、俺のケージが大きく振りまわされたように感じた。
 毛づくろいをしていた俺は大きく転げた。ケージの内側に体をぶつけたが、このモフモフな体のおかげか痛みはない。
 何があったのかと外を見ると、景色がびゅんびゅんと猛スピードで流れていく。ブオンブオンと前世でよく聞いていた爆音が耳に飛び込んでくる。
 みずきが何かを呼びながらこちらに向かって手を伸ばす姿が、だんだんと遠く小さくなっていった。


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