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#読書感想文〜「ひどい目。」TOBI・著

「ひどい目。」TOBI・著(青幻舎・2018)

いやぁ、参った。参った。

これは、アーティストのTOBIさんが、ひどい目にあった体験を語られている本なのですが、その酷さが本当に酷い。
過酷です。
過酷すぎて、笑ってしまいます。

全てのお話が、想像の上をいくエピソードで、読みながら、「なんでそんなことに?」という驚きが隠せませんでした。

例えば、いくつかタイトルをご紹介すると、

その1
「武装した銀行強盗の一味と密室に閉じ込められ、二丁拳銃を突きつけられた件」
その2
「豪華クルーザーで遭難し、強烈な陽射し黒焦げになりながら、大西洋を漂流した件」
その3
「亡命ロシア人から借りた築400年のアパルトマンで、壁の電話回線が火を噴き、中から盗聴器が出てきた件」

など、どれもタイトルその通りの話なのですが、とにかく面白くて、もうわけがわかりません。

このような信じがたい、酷いエピソードが9話収録されています。

アーティストTOBIさんとは、「レ・ロマネクス」というポップデュオのボーカルで、まずフランスの「素人発掘番組」で注目され、「パリでもっとも有名な日本人」となった方のようです。

2011年に「フジロック」に出演したことで、日本でも広く認知され、それから、日本に活動の拠点を移し、今ではNHK教育番組にも、出られているようなので、ご覧になっている方もいらっしゃるかもしれません。

とにかく、衣装がド派手。
金髪のかつらにエッフェル塔を乗せ、蛍光ピンクの眩しいスーツで歌って踊る2人組みです。

そもそも、この本は、2014年から「ほぼ日刊イトイ新聞」で掲載されたインタビューをまとめたもので、当時から人気の連載だったようです。

読者からの反応は、「生きる勇気が湧いてきた」というものが、多かったそうですが、確かに、こんな体験をしている人がいるんだという驚きとともに、自分の悩みが、非常に些細なことのように感じてしまいます。

自分の世界がいかに小さく、私がとらわれている常識なんて、本当に限定された社会の常識であったことが認識でき、視界が開けた気分です。

世界は広い。
自分の常識が根底から揺さぶられた、読書体験でした。

こういう、自分の知らない世界、想像を絶する体験をした方のお話を聞けるのは、大変興味深く、面白い。

この本の聞き手である、「ほぼ日」編集部・奥野氏は、この驚くべき、ひどい話を聞いた時に、「これは、伝えなければ。残さなければ。」という謎の使命感が全身にみなぎり、連載が始まったそうです。

私は、図書館で借りて読んだのですが、「ほぼ日」に過去の記事があるので、そこで読むことはできるようです。

気になった方は、ご確認ください。

ただ、人前で読むのは、十分にご注意ください。
思わず、吹き出してしまう箇所が、いくつもありますので、ご自宅で、心置きなく、爆笑しながら読むのが、おすすめです。

また、書籍の方が、読みやすいレイアウトで、ゆるいイラストも可愛いので、楽しく読めるのではと思います。

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