無題

争うは本意なれど:ドーピング冤罪を晴らした我那覇和樹と彼を支えたひとびとの美らゴール

(初出:旧ブログ2015/12/05)

  関塚フロンターレは見てて本当に楽しかった。川島永嗣、箕輪義信、寺田周平、井川祐輔、谷口博之、そしてFWの豪華さたるや。黒津勝、ジュニーニョ、鄭大世、今やセレソンの顔であるフッキすらJ2に出場機会を求めるくらいの厚さだった。そしてそのタレント軍団の中でも一際輝いているのか中村憲剛と我那覇和樹だった。

 その我那覇は07年にピッチ外のことで振り回されることになる。体調不良時に打ったビタミンB1を追加した点滴をドーピング行為に抵触するとされ出場停止の処分を受ける。我那覇は処分取り消しを求めスポーツ仲裁裁判所(CAS)へ提訴するが、その道のりは一選手にはあまりに過酷なものだった。我那覇のみならず、クラブドクター及びスポーツ医療の立場やあり方、ひいては日本サッカーの未来を守るべく各方面に支援の輪が広がっていく。

 著者は『オシムの言葉 』で有名な木村元彦。事細かに当時の資料、会議での発言を事細かに載せることで極力中立の視点でこの問題を捉え、一方的に「我那覇が被害者だ」とだけ主張する本にならないよう心がけた内容になっている(本が手元にないから確認できないのだけど、確か著者本人もあとがきでそういう風にしてあると書いてたはず)。あくまでも「争う」は「本意なれど」。そしてこれは選手・スタッフ・クラブという「現場」と記者・協会といった「外部」の隔たりが起こした全体的な問題なのではとも思うし。

#サッカー #ノンフィクション #木村元彦 #我那覇和樹

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