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札幌ドームが「夢のスタジアム」だったあのころ

 これを書いている2024年現在、札幌ドームをめぐる環境は「夢」という言葉からは遠く離れた状態にあるし、そうなってしまった過程で違和感を覚えたり、時には野球ファンとして腹を立てたこともあるのだが、今回はその話ではない。むしろ正反対の評価だった時期もあったのに、という話だ。


 2001年に開場した札幌ドームはまさに「夢のドーム」だった。北海道、札幌というインパクトに加え、芝を入れ替えることでなんとサッカーも野球も出来る”二刀流”のスタジアムだった。
 翌年の日韓W杯でも3試合開催され、日本でも大人気だったデビッド・ベッカムも札幌でPKを決めてアルゼンチンに勝利した。前回大会の同一カードでレッドカードになったベッカムが雪辱を果たすという、W杯史に残る名ドラマの舞台にもなった。


 その後は北海道日本ハム球団のホームスタジアムとして、ダルビッシュ有や大谷翔平といったスーパースターを輩出し、前後してチームとしても06年と16年に日本一に輝いた。「日本ハム黄金時代」を迎えたのも当然この札幌ドームだった。

 開場当時は「札幌ドーム収録」をセールスポイントにする野球ゲームも存在し、スポーツ以外でも「5大ドームツアー」という言葉が誕生・定着するなど、様々な面で「スター選手」ならぬ、「スターのスタジアム」として内外から認められたスタジアムだった。変な話だが“今でいうエスコンフィールドのようなスタジアム”が、かつての札幌ドームだったのである。

 

 ススキノを舞台にした2011年の映画『探偵はBARにいる』では、閉店後のバーで主演の大泉洋が演じる探偵が脅迫を受けるシーンのバックに、日本ハムナインが札幌ドームで09年のリーグ優勝を喜ぶ映像が映し出されている。
 ファイターズや札幌ドームが道民に「受け入れられた」ことを象徴しているようで、パ・リーグのファンとして、映画そっちのけで、なんだかとても喜ばしい気持ちになったのを覚えている。

(『水曜どうでしょう』とはまた違った味わいの大泉洋が見れます)


 野球選手含めて、昔好きだった芸能人が不祥事などで築き上げたものを失うのを幾度となく見てきたが、札幌ドームにはそれに近いものを感じる。あんまりこういった感情を「場所」に抱くことも少ないかもしれない……。

 札幌ドーム開業・日本ハム移転後の00年代のパ・リーグは、合併や新規参入、親会社が変わるなど波乱の時代を経て、現在の盛隆につながった時期でもある。「パ・リーグ新時代」を最初に開いたのは札幌ドームだと思っていたのだが……。

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