子供に絶望を説かない

宮崎駿監督が岩波新書版『本へのとびら』書き下ろしの「吹き始めた風のなかで」という文のなかで、児童文学へ求める規範として「こどもにむかって絶望を説くな」と語っていて、前後の文脈は忘れてしまったんですがなんとなくフレーズだけずっと印象に残っています。

で、そのフレーズを自分なりに咀嚼して思ってること。

フィクションのテーマとしてもそれ以外でも、いい年した大人が子供、若者――つまりは確率上自分が死んでいなくなった後の世界を生きる目が高い人たちに対して「この先にどん詰まりが待っとるぞ、どうしようもないぞ」と言うだけ言うのは単純にダサい言い逃げになるから言わない方がいいってことだと思うんですね。後々、本当にどん詰まりかどうか実証の場に立つのは自分じゃないから今のうちに好き放題言えるだけやん、と。
最終的に自分が背負わなくていいものに対する気分だけ先取りしてリアリストを気取るのはスジも格好も悪いよね、と。

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