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ながいお話。

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動物たちも登場する、ちょっと不思議な世界のお話です。長めのストーリーは分けて掲載しています。
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記事一覧

マフラーを巻いたうさぎ。(3)

< 3 > 「まい子、ご飯にしようか」 「うん」 お父さんに言われて、テレビを見ていたまい…

宮本松
4日前
24

マフラーを巻いたうさぎ。(2)

< 2 > 週末になるのが、こんなに待ち遠く感じられるのは、久しぶりのことだ。もちろん学…

宮本松
11日前
31

マフラーを巻いたうさぎ。(1)

< 1 > 学校からの帰り道、まい子は小さな身体に不釣り合いな大きな荷物を、肩から斜めが…

宮本松
2週間前
36

ぼくんちのねこ。(2)

< 3 > このところ、ぼくは考えごとばかりしている。もう一週間くらいずっとだ。気づくと…

宮本松
5か月前
9

ぼくんちのねこ。(1)

< 1 > トラ男はぶさいくな、ぼくんちのしまねこだ。キジトラというしゅるいらしい。茶色…

宮本松
5か月前
7

ハルタと桜色の夢。(2)

<3> 土手をもう少しのぼっていった先に、小さな古い家がありました。ぽつんと立っている家…

宮本松
2週間前
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ハルタと桜色の夢。(1)

<1> 楽しそうな明るいわらい声で、ハルタは目をさましました。葉っぱの上でうっかりねむっていたようです。ちょうど子どもたちの下校の時間のようで、川ぞいの道を、色とりどりのランドセルをせおった子どもたちが、にぎやかに歩いていきます。 「あぶない、あぶない。あいつらに見つかったらたいへんだ」 ハルタは草むらにかくれながら、川の上流へとむかいました。おなかが空いたので、何かえものをさがそうと思ったのです。お日さまの日差しと秋の風が、ここちよい季節です。このところ雨がふっていないの

きのこの森。(3)

「生き物たちは皆、むこうの世界へいく前に、カラダもココロも、此処でこうしてお浄めされるん…

宮本松
1か月前
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きのこの森。(2)

いつの間にかヒロくんは、沢山の木に囲まれた森の中に立っていました。きのこの王様は、相変わ…

宮本松
1か月前
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きのこの森。(1)

冬も終わりに近づいたある日、ヒロくんはおたふくかぜにかかってしまいました。丸かった顔は、…

宮本松
1か月前
26

月のおまじない。(7)

< 7 > もう向こうの世界にいくことはないだろう。そう思っていたのぞみに、あるアイデア…

宮本松
3か月前
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月のおまじない。(6)

< 6 > 今、のぞみとばあちゃんはリビングで向かい合って、お茶を飲んでいるところだ。窓…

宮本松
3か月前
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月のおまじない。(5)

< 5 > きっかけはささいなことだった。普段なら、けんかになりそうなとき、のぞみか貴理…

宮本松
3か月前
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月のおまじない。(4)

< 4 > 20〇〇年、6月22日 とうとう次の満月の夜がやってきた。のぞみは半信半疑だ。また不思議な夢を見るのだろうか。というか夢ではない、むこうの世界、つまり過去の世界に行くことになるのだろうか。 あれが夢なのかそうではないのかの結論を、のぞみは出せていない。これまで空を飛んだり、悪者から追いかけられたり、数多くの不思議な夢を見てきた。でもあれは、ちょっとちがっていた。ただの夢とは言い切れない。こういうことは、人に上手く説明できる類いのものではない。それはのぞみにも分か