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日々のこと 0815 『天気の子』

窓を暴風雨が揺らしている。
こんな台風の夜になんなんですが、『天気の子』の話を。

感想を書こう書こうと思いながら、ずいぶん時間が過ぎてしまった。
とても面白かった。ボロボロ泣いて、ボーッと眺めていたエンドロール。
2回見に行った。

何が良かったのか。美しい映像、情感あふれる東京の雨の風景もさることながら、一言でいうなら「若い子が自分の思うがままにめちゃくちゃに暴走するのがうれしかった」ってことだと思う。

映画を見る数日前、たまたま出会った大学生の男の子と飲む機会があった。明るく素直で周りを気遣う、気持ちの良い子だった。
好きなモノの話をしている時だったか、彼が「僕らの世代は音楽もAVも無料で手に入る。もうずっとそう。だけどそれでは業界が潰れてしまうから、存続してほしい作家の作品はお金がある時だけでも購入するようにしている」と言った。それを聞いた大人たちは「偉い! イイ若者だ!」と彼を誉めていた。
理解はするし良い話だけど、なんだか変な話だなあ、と引っかかった。
作り手の財布事情なんて気遣うことなく「欲しいから買う」という自分の欲望をストレートに叶えることで、行くべきところへ自然にお金が流れていた私の世代とは、何か根本的に違うのだなと思った。
お気に入りのモノを入手することでさえ動機を後付けしなくてはならない彼らが、ちょっと気の毒な気がしたのだ。

映画は、雨が降り続いている東京の話だった。
劇中でおばあさんが言う「昔は春とか秋とか、良い季節があったのに。今の人たちは可哀想よね」という台詞が、私の中で何か重なったのだと思う。
思い通りにいかない世の中で、大人や社会の常識に合わせてどうにか生き抜かなきゃと奮闘していた少年が、自分の好きなモノを見つけ、それを手に入れるために「迷惑? 知らんがなー!」となりふり構わず爆走する姿が、もう泣けて泣けて仕方なくなってしまったのだった。

映画を見たのが偶然、参院選の日だったのも、なんとなく影響したと思う。「結果どうなるんかなー、これから日本どうなるんかなー」という漠然とした不安。
すっかり大人になってしまった私は、今の社会を築いてきてしまった一人だし、そこには申し訳なさみたいな気持ちも多分あり、「あんまり良い世の中になってなくてごめんねー。でも君らは君らで頑張れや」とも思っている。これからの未来には子どもたちが少しでも生きやすい世界が広がっていてほしいなあと、やっぱり願っている。

誰にも気を遣うことなく、自分の欲望だけのために突っ走れる瞬間の幸福さと残酷さを描いた『天気の子』、私はとっても面白かったんですよ。

書いてるうちに、雨は少し弱まってきたみたい。
台風、ピークは過ぎたようです。



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