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立ち上げから3年で国内最大規模のサービスに成長させたtoBマーケティング組織の試行錯誤を振り返る

ご無沙汰してます、株式会社BLAMで役員をやっている宮本です。

先日、株式会社ベーシック(ferret One)様主催の『BtoB Marketing Summit 2021』で登壇の機会を頂きました。
僕は事業責任者を務めていた、自社事業である『カイコク』の立ち上げ~現在に至るまでの試行錯誤をtoBマーケティング軸で事例共有させて頂きました。
サミット全体では300名を超える方にご参加いただいたのですが、ご視聴いただいた方々のうち、約8割の方からポジティブな反応を頂けました。
特にDX(デジタル・トランス・フォーメーション)が叫ばれる中で、所謂企業のフロント領域(セールス・マーケティングなど)において重要な課題のひとつである組織構築において参考になったとのコメントをいただきました。

そこで、時間の都合でセミナーではお話できなかった部分も含めて改めて振り返りたいと思い、noteにまとめさせて頂きました。

当然、今振り返ると反省点も多く、反省文の最後のように「今だったらこうする」ということも触れさせてもらっています。

*こういったテーマでの登壇機会はこれまでなかったので、気合入りすぎ(赤裸々すぎ)てしまい、ボードメンバーから怒られるかなと思ったのですが大丈夫でした。笑

ではよろしくお願いします!

はじめに~カイコクについて~

カイコクは企業のマーケティング課題に対して、必要なスキルを持つ複業人材をマッチングし、課題解決のために伴走するサービスです。
現在、国内最大規模である約7,000名のマーケティングスキルを持つ方々のご登録があり、累計300社以上の課題解決に伴走しています。

カイコク

以前の組織編成と課題感

カイコクは2018年1月よりサービス構想を開始し、クローズドでの提供期間を経て、2018年9月に正式ローンチしました。
僕は事業責任者として立ち上げ期を主導する立場でした。
当時は政府の働き方改革の動きもあり、「副業元年」と盛り上がってはいたものの、それはあくまで働き手(個人)側がメインであり、企業側の理解は現在よりもかなり低く、今回の論点ではないため端折りますが、もがきにもがいていたことをよく覚えています。(代表とふたりでひたすら営業して回っていました。笑)
そんな市場背景もあり、マーケティングにおいても原則プッシュ型の手法をとる必要がありました。
まだまだ検証が必要なポイントも多くあったため、検証がしやすい×結果が見えやすい、という観点からWeb広告活用がマーケティングの中心に置くことが最適であると判断していました。
その上で幸いにして僕らがWeb広告運用支援事業も行っていることから、スムーズに施策に移すことができ、成果にも繋げられていました。
ただセールスとマーケティングの連動でいうとWeb広告で獲得した新規の見込み顧客に対してアプローチをかけるだけの状態でした。

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それでもある程度の期間は上手くいっていました。
タレントを起用したタクシー広告との連動やホワイトペーパー活用など様々な施策を展開し、Web広告で単月100件以上の新規見込み顧客を獲得していたこともあります。(ご興味ある方は以下よりホワイトペーパーをご覧ください。)

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また代表も副代表も営業出身ということもあり、セールス力があったことも理由として挙げられます。
ただし、お察しの通り、獲得数の頭打ちや商談への転換率など、このやり方で目標達成し続けることは難しく、途中で壁にぶつかってしまいました。
また、今思えば僕らが元広告代理店出身のメンバーが多いことによって、新規見込み顧客の獲得至上主義的な文化的な障壁があったように思います。
(取り組んでいた施策としては以下図の黄色部分)
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カイコクのビジネスモデル的にも、今の状態で仮になんとか達成できたとしても目指す未来には行けないと感じたので、組織が生まれ変わるような打ち手を講じる必要がありました。

そんな状況であの本に出会いました。みんな大好き「THE MODEL」です。

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初めて読んだ時、同じように感じられた方もいらっしゃるかと思いますが、大きな衝撃を受けました。
「SaaSではないが、カイコクのモデルにも応用できないか?」
ここから試行錯誤を始めました。

ベースとなる体制構築

方向性としてはアウトバウンド→インバウンドへの転換を図り、フロー型からストック型の組織になることを目指しました。(これは今も変わりません。)
ただ先述の通りの状況であり、まずはベースとなる体制構築から行う必要がありました。

体制構築のためにとったステップとしては以下です。
1. ビジネス・カスタマージャーニーの再整理
2. 1の対応するための理想的なセールス・マーケティングフローの整理
3. 社内の啓蒙&啓蒙

1. ビジネス・カスタマージャーニーの再整理
新規事業においては当初作成していたビジネスの状態(カイコクはリーン・キャンバスで作成)やカスタマージャーニーにアップデートは多かれ少なかれあります。
しかし、お恥ずかしながらある程度軌道に乗った段階で更新が止まっていました。そこで改めて現状に基づいて再整理を行いました。

ビジネス・カスタマージャーニーの再整理

2. セールス・マーケティングフローの構築

1で再整理した内容に対応させることを前提に「THE MODEL」の組み込みを図りました。以下が当時の全体フローに対する組織体制です。

カイコクの全体フローと対応する組織

「THE MODEL」をご存知の方からは「なぜ、フィールドセールスがいないんだ?」という突っ込みをいただくかと思いますが、当時のメンバーリソースとスキルの兼ね合いで分ける必要がないと判断しました。
また名称をセールスやフィールドセールスではなく、あえてインサイドセールスとしたのはこのあとにも記載する社内浸透のためです。

3. 社内の啓蒙&啓蒙
タイトルにするとシンプルなのですが、ここが一番重要かつパワーのいる工程でした。
実際、DX(デジタル・トランスフォーメーション)の一環でTHE MODEL型の組織構築をされている方のお話では一年以上社内啓蒙を行っているということでした。
流石に僕らの会社規模ではここまでの時間はかからなかったものの、書くと長くなってしまうので端折りますが、経営陣、メンバーに対してそれぞれ必要性を説き、浸透を図るための取り組みを地道に行っていきました。

結果的に合意を得られ、体制変更及び基盤となるSFA・MAツールの導入を決めました。ツールとしてはHubSpotを選定しました。

HubSpot組み込み
*余談ですが、この際にカスタマーサクセスの重要性を社内認知させるために、SQLやMQLを捩って「CSQL(Customer Success Qualified Lead)」という造語を作り、KPIに置いた(今も置かれています)のですが、この記事を書くにあたって調べてみたら、今は一般的?なワードみたいですね、驚きました。笑

体制変更によって実現できたこと

細かいことを含めると多々ありますが、大きく3点です。

・休眠アプローチの重要性の意識醸成(新規リード以外からの収益)
最も重視していた点ですが、期待通り社内で交わされる会話が変わっていきました。
・全社でのハウスリスト統合
サービスごとに分断されていたリストをHubSpot上で統合し、与件の受け渡しやクロスセルをシームレスに生みやすい状態になりました。
・スプレッドシートでの管理からの脱却
ラーニングコスト、管理コストが減り、顧客と向き合う時間を増やせました。

ある程度この基盤で組織が回り始めたタイミングでストック型施策へのチャレンジを開始しました。

取り組んだストック型施策

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HubSpotの導入によって商談獲得、商談数最大化の施策は取り組みやすい状況でしたので、どの施策がカイコクには合うかを試していきました。
以下リード獲得、リード育成で取り組んだ施策の中から一部を紹介します。

・Youtubeチャンネル
~マーケティング領域の職種を定義する~をコンセプトにYoutubeチャンネル「カイコクアカデミー」の立ち上げ

・Webメディア
デジタル・Webマーケティングのナレッジ共有メディア「カイコク デジマギルド」の立ち上げ

その他ラジオ開設やプレスリリース体制の構築などを行いました。
HubSpotの取り組みを含め、複数のプロジェクトを進めることになりましたが、もちろん僕ら自身経験のない取り組みであり、各プロジェクトオーナーが情熱をもって引っ張ってくれていたため前には進んでいたのですが、手探り感は否めませんでした。

そこで盲点ではあったのですが、僕ら自身もカイコクを活用するという選択肢を取り、各プロジェクトに対してプロフェッショナルな方をアサインしました。

プロフェッショナルアサイン

結果として、自社メンバーのみで取り組むよりもスピード×質が向上し、プロフェッショナルから知識やナレッジを自社メンバーがインプットすることで自走できる状態となり、トータルの費用対効果高くプロジェクトを進めることが出来ました。

費用対効果

最初は自社メンバーのみで試行錯誤しながら取り組んでいましたが、実現までのスピード×トータルコスト×自社人材の成長速度の観点から、もっと早くプロフェッショナルの力を借りた方が費用対効果が高かったというのが今となってはの反省です。
各プロジェクトオーナーの熱量にその道のプロフェッショナルがタッグを組めば、まさに「鬼に金棒」だと思いました。

最後に

今回ご機会をいただいて自分たちの取り組みを振り返りましたが、改めて赤裸々に公開することにしたのは、現在は今回記載させて頂いた組織体制から進化していること、さらに今年はさらに進化が必要なフェーズだと感じているためです。

一般的にみても、Cookie規制やWeb広告出稿企業の増加など市場環境の変化によってCAC(顧客獲得コスト)は高まる一方であり、THE MODEL的な分業型組織構造にすることは必ずしも良いとは言えない状況になってきました。ただしTHE MODELに基づいた組織構築は所謂DXに挑戦される企業にとっては組織変革のステップとして引き続き有効であると感じています。

しかし目まぐるしく状況が変わっていく中で構築に長い時間をかけるのはナンセンスであり、先に記載させていただいた通り、プロの外部人材の手も借りて一気に推進を行い、早くそのステップに到達することが総合的には費用対効果が良いと考えます。

もしこのあたりのお話や本noteの内容についてお話されたいということがありましたらお気軽にご連絡ください。(もちろんTwitterでご連絡いただいても大丈夫です。)

何か参考になれば幸いです。


もしスキが50件いったら取り組みを深堀りした内容(HubSpotの活用方法や外部人材との効果的な運営体制など)も書こうかなと思っているので、「お、書けや」と思っていただける方はぜひポチッていってください。
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最後まで読んでいただき、ありがとうございました!






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