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#3:ゲームの面白さって何?と聞かれ他エンタメと比較して論理的に考えたらマーケティングとの共通点に辿り着いた

ご高覧誠に有難う御座います。

唐突ですが私 X(旧Twitter)をやっているのですが、経歴的にビジネス関連が期待されていそうで反応良いのは大体お仕事系です。

他方、趣味のゲーム系呟きを時折にすると、分かり易いように反応が少ない笑 SNSの利点、需要⇔供給のズレが丸わかり。と、需要が低いのは分かった。けど今後もゲーム系呟きを止める事はありません。何故か?それは私が死ぬほどゲームが好きだからです。

ということで今回したためるのはゲーム系のエントリーです。


ゲームと私の出会い

私とゲームの出会いは6~7歳だった頃の祖母の家でした。運命のお相手は「ファミリーコンピューター」、いわゆる「ファミコン」。

THEレトロ

さすがに年齢的に流暢にプレイすることは叶いませんでしたが、2人の兄のプレイ姿を楽しく見学していました。

  • 魔界村

  • スーパーマリオブラザーズ3

  • 忍者ハットリくん

  • 星のカービィ 夢の泉の物語

  • 熱血硬派くにおくん

など、往年の名作に心痺れた記憶がハッキリあります。そこからゲームの奥深さに魅了され、ゲームボーイ系(GB/GBA/DS)・PSP系(PSP/PS Vita/PSPGo)・PS系(PS1~4)・任天堂据置き(Nintendo64/GC/Wii/Wii U/Switch)・ドリームキャストなど大半のハードを購入し遊びました。

過去のプレイゲーム遍歴は、また別の記事で殴り書きしたいです。

ゲームって何が面白いの?

そんなゲームラバーな私ですが、知人に「ゲームの何が好きなの?」と真顔で聞かれた際に「だって面白いんだもん!」とトトロのメイちゃんばりに無垢な回答しか出来ませんでした。
悔しい。ちゃんとゲームが持つ面白さを言語化したい。体系化しよう!というのが本記事です。

桜井政博さんの考える「ゲーム性」

と言いながらいきなりもはや「回答」的なリファレンスをば。

ゲーム好きなら知らない人はいないであろう、大乱闘スマッシュブラザーズや星のカービィの生みの親、桜井政博さんの考える「ゲーム性」に関する考察。めちゃくちゃ面白いです。
一言で済ますのが憚られる濃密な内容ですが「リスク&リターン=駆け引きがゲーム性でありゲームの面白さ」という本質を、具体例を混ぜて紹介されています。

桜井さんはこの力学を2003年頃から既に重要視しており、2017年にもほぼ同様の内容の講義資料がオープン記事になっています。


桜井さんの考察はゲームジャンルを「縦に深く掘っていく」視点なので、逆に今回は「他エンタメコンテンツと並べた時のゲームジャンルのポジショニング」を俯瞰する「横に広げていく」視点での整理に挑戦してみます。

ゲーム vs 他のエンタメジャンル

今回の比較ジャンルは独断と偏見で以下の猛者たちです。

  • 対象:物語を体験できるコンテンツ

  • No.1:ゲーム

    • コンシューマー向け。アプリ向け除く

  • No.2:映画

  • No.3:連続ドラマ(アニメ含む)

  • No.4:漫画(単行本。雑誌は除く)

  • No.5:小説

テレビ番組・動画配信サービスなども立派なエンタメですが今回は上記対象で絞ります。
では次に、これらを2つの軸でマッピングしてみます。うーん、軸選びに非常に迷いました。

エンタメ ポジショニングマップ完成

  1. 横軸=アクション性の高さ。アクションの定義は「物語進行のために必要なユーザーの能動的動作」を指す

  2. 縦軸=物語終了までの長さ。作品によるので大体の平均(例:映画は2-3時間、ドラマは1時間×7-8話)

  3. 面積=情報量の多さ。情報量の定義は「ユーザーが五感で感じられるあらゆる情報(映像・音楽・声・テキスト等)

マッピングした事で可視化できた事は2点で「ゲームの独自性はアクション性である事」と「ゲームと映画は対極的である」こと(※ボードゲーム・カードゲームの類が入れば右下の象限に位置するが、今回は対象外)


ゲームの持つ唯一無二性

唯一右上の象限に位置するゲームの価値を補足してみる。

  1. 横軸:右側に属すジャンルがゲームしかない。アクション性からしか生まれない価値=「自分が物語を動かしているという主人公へのトレース体験」は大きい。近年の主人公のアバター化(名前や見た目)潮流により更に際立っている。
    アクションが生むもう一つに操作性がある。すると「成功と失敗」という概念が生まれ、成功時の達成感は映画や漫画では絶対に味わえない体験になる。小説やドラマがe-Sportsのような競技シーンに発展し得ないが、ゲームが生む興奮はここに起因する。

  2. 縦軸:無論タイトルによるが、ゲームは全クリまで比較的たっぷり遊べる。往年のスーファミや初代プレステのソフトでも10〜15時間は遊べるし、最近は100時間以上遊べるタイトルも少なくない。
    この「世界への没頭感」は他コンテンツでは中々得られない体験と言える。

  3. 面積:漫画は絵、小説はテキスト、映画は映像とフォーマットに一定の制約がある中、ゲームは情報フォーマットをコントロール出来る点が面白いと思う。360°フルオープンワールドの濃密作品もあれば、ドット絵2D中心のノベルアドベンチャーゲームもあったりと、作品のコンセプトを合わせ多様なデザインフォーマットを体験できる。

上記3点を纏めると…
ゲームの面白い所=「多彩な世界観へ自分自身をトレースさせ、アクションを通じ没入感・達成感を得れる唯一のエンタメ」になる。口語的だが納得感としては悪くないように感じます。

ゲームの持つ構造的な弱み

一方、本整理を通じゲームの弱みも明確に理解できました。唯一無二性あるアクション性は、裏を返すと「ユーザーの能動的アクションを必須にしてしまう」という事。

アクション性は言い換えると「アクションしないと物語は一生進まない」ということ。ゲームなんてボタン押さなければタイトル画面からすら進まない笑。
因みにマッピング上でドラマ・漫画・小説を映画よりアクション性高にしたのは「次の話を見る」「ページをめくる」というアクションが一応必要だからです。

こう整理すると対極にいる「映画」も実は高い特異性を持つ事に気付きます。映画館では入場さえすれば、必ず時間内にエンディングに辿り着く。極論ユーザーが寝てても。しかも2-3時間で終わるのでドラマや漫画より気軽に触れられる。
映画は「ユーザーが一番頑張らなくていいエンタメ」なのかもしれません。ゲームは「ユーザーが一番頑張らないといけないエンタメ」なのかもしれません。

ゲームの弱みは敷居の高さ、もしくは離脱率の高さということ。映画やドラマは社会現象化してみんなが同じ作品見てるって起きるのに、ゲームはみんな同じ作品全クリしてる事って中々無いですよね。アクション性は大衆性と反比例関係にあるんですね。
ゲーム人口が広がり辛い理由はここにあるんだと。そして映画やドラマってメチャクチャ強いパッケージなんだなと。改めて感じました。

加えて…これは個人的な感覚ですが。例えば本当に涙を流した感動する映画・ドラマ・漫画って結構あるんですが、ゲームではほぼ無いです。ゲームで得る感情の最初は「クリアできた!」なんです。
感覚論ですが、受け身姿勢で見れる映画やドラマの方が脳のメモリを感受性に全振りでき、ゲームは達成感に容量を使ってる差分なのかなと。

じゃあアクション性を減らし「観る時間」を増やすゲームを作ればいいか?というと、例えば探索よりドラマ性を重視したFINAL FANTASY XVIに賛否両論が起きたように、偏ると「ゲームである必要が無い」と思う層も増えるので、ここは役割分担と割り切りしかないと私は感じました。

マーケティングとゲームの共通点

先ほどあげたアクション性の高さ⇄大衆化の反比例関係は、普段のマーケティングの仕事のある点と共通点があると思いました。
それはマーケティングにおけるターゲット選定。関心の濃い層に絞るとターゲットが少なくなり、ターゲットを増やすと薄い層が増え効率が悪化する。規模⇄効率両立のジレンマに構造的に類似してます。
マーケティングでもこのターゲット選定が肝要な様に、売上=販売数が目的のゲームでも「ゲームコア層に刺さる作り込み⇄ライト層・新規層のハードル緩和」の両立が、ゲームの持つ独自性ゆえに向き合わないといけない構造的問いなんだと感じました。

相変わらず大変長くなってしまいましたが、#1/#2のエントリーには想像以上の反応も頂いており、大変大変感謝でございます。
引き続きビジネス・趣味と幅広く投稿していきますので、宜しくお願いします!

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