今日の記事の書き出しは、10年前の3月11日、羽田空港第3ターミナルと、3月12日、マレーシア・クアラルンプールの空港から中心街へ向かうバスの中で書いた文章から。10年前の冬、僕はバックパッカーとして東南アジアへ旅立った。
2014年の3月11日、僕は羽田空港第3ターミナルから約1年間のバックパッカーの旅へと出た。マレーシア、タイ、カンボジア、ベトナム、ラオス、オーストラリア、インド、ネパール、韓国、日本の旅。その全てが始まったのが、マレーシアのクアラルンプールからだった。
あの日から約10年の月日が経った。今週末、僕は10年ぶりにクアラルンプールへ向かう。
漠然とした不安と、湧き出るようなワクワクと、あの旅に出る直前の羽田空港第三ターミナルの興奮は今でも鮮明に思い出せる。これから知らない自分に出会うような、何もない場所から壮大なプロジェクトを開始するような、そんな感覚だった。
バックパッカーの旅は本当に色々なことがあった。ホーチミンでのボッタクリ事件、オーストラリアの地獄のズッキーニ摘みのワーホリ出稼ぎ期間、インド宝石詐欺師事件、リシケシュのヨガ修行、道頓堀での韓国人の友人との別れ。
10年前、旅が終わって函館の実家で猫を撫でながら芋焼酎のお湯割りを飲みながら「あの旅はなんだったんだろう」と漠然と考えていた。旅を終えた達成感と、思い出すだけで戻りたくなる旅が終わった寂しさと、危機感を感じずにも生きていける日本の違和感と、
そして将来「いつか海外に行く人の背中を押す仕事をしたい」と思っていたことと。
色々な出会いと出来事があって、今は海外に行く高校生を支える仕事をしている。「海外行きたい、英語話せるようになりたい、って思ってること自体が最高だよ!!!」と言いながら。
そんな生徒が今週末、マレーシアの語学学校へ留学することになり、引率することになった。それが今回のクアラルンプール出張。旅の始まりの場所へ、漠然とした不安と、湧き出るようなワクワクを抱えている(であろう)生徒の留学をスタートさせる仕事で向かう。
もちろん仕事だから落ち着いて、あたかも「慣れているよ」みたいな素振りをしなければならないかもしれないけれど。それでもクアラルンプール国際空港から出た瞬間だけ、その瞬間だけは。目を閉じて10年ぶりにあの街に到着したときの空気を思いっきり吸い込んでみようと思う。
あの空港とあの街は、10年経ってどう変わっただろうか。
そしてあの空気は、10年経って僕にとってどう変わっただろうか。