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ダルビッシュ投手の「一瞬一瞬、今日を一生懸命に生きたい

 昨晩、日本テレビの番組でダルビッシュ投手の弟の賢太さん(32歳)がガンの闘病生活を送っていることが明かされていた。昨年、京セラドームで行われたWBCの強化試合の時に賢太さんとダルビッシュ投手は面会したのだが、ダルビッシュ投手は闘病生活を送る賢太さんのために、休憩用の部屋も球場内にとっていたのだという。昨年若手投手たちに細やかな配慮を見せたダルビッシュ投手らしい気遣いだと思った。メジャーに13年と長い期間、在籍できているのも彼の投手としての技量やパワーを物語っているが、野球について語る時の表情は求道者という表現がふさわしいと思ってしまう。
 昨日、私のメルマガの記事でも書いたが、昨年のWBCのキャンプの際にダルビッシュ投手は世界一奪回に必要なことはと尋ねられて「世界一を考えないこと。先を見るといろいろおかしくなるので、今日をとにかく一生懸命頑張ることの積み重ねだと思う。先を見ないことがすごく大事だと思う」と語った。


 いかにもイラン人の血が流れているダルビッシュ投手らしいペルシアの詩人の詩情のようだ。ダルビッシュ投手は「一瞬一瞬、今日を一生懸命に生きたい」と常々語っているそうだが、オマル・ハイヤームの「ルバイヤート」には次のような一節がある。

あぁ友よ、さあ、明日を悲しむのはやめよう
この命の一瞬を有意義に使おう  
ای دوست بیا تا غم فردا نخوریم
وین یک دم عمر را غنیمت شمریم
-オマル・ハイヤーム「ルバイヤート」

アマゾンより


 ダルビッシュ投手の好きなイラン料理はゴルメサブズィー(ゴルメサブジ)で、パセリやインゲン豆、黄えんどう豆などの野菜と羊肉、あるいは牛肉を煮込んだ料理だ。ダルビッシュ投手は自らの「ソウルフード」と形容している。栄養のバランスもよくて、ご飯に乗せて食べると、思わず食が進んでしまうほどで、私も好物にしている。

ゴルメサブジ(右下) https://uniqop.com/ghormeh-sabzi-recipe/


 2020年1月、イラン革命防衛隊のソレイマニ司令官がアメリカ・トランプ政権によって殺害されると、YouTubeの中で「戦争って不幸なことばかり生むと思うし、儲かる人は、軍事系の作っている人たちは儲かるのかもしれないけど、やっぱりすごく悲しみを増やすことなので。宗教が違うという複雑な問題があるんだろうけれども、みんな本当に仲良くしてほしいなと。そんな言葉だけで簡単に平和にはならないけど、みんなが平和になるように本当に願ってます。イランの人たちもそうだし、アメリカの人たちもそうだし、みんなに平和が訪れたらいいなと思っています」と戦争の本質を突いたり、父親の母国のイランが戦争を回避できるように、平和への切実な想いを語ったりした。また、トランプ政権になってイスラム系諸国からの入国が厳しくなり、父親のアメリカへの入国が困難になったことも明かしている。アメリカで生活して国とは何かという問いをあらためて問いかけることになったことだろう。

友よ明日を思い煩うなかれ
このひとときの楽しみをとれ
明日われらはこの古き住居(すまい)を去り
七千年の故人と共に旅をせん(陳舜臣訳「ルバイヤート」から)

ダルビッシュ投手の愛犬 捨て犬を拾ったのだそうです。優しいですね。 http://geinou.2chblog.jp/archives/21111502.html


 2017年のワールドシリーズ第3戦でドジャース・ダルビッシュ有投手からホームランを打ったアストロズのグリエル内野手はアジア人を侮蔑する仕草をした。

 これに対してダルビッシュ投手はツイッターで、
「誰も完全ではない
グリエルがしたことは正しくはないが、批判するよりも我々は学ぶべきだ
このような素晴らしい世界に生きているのだから、怒りを露わにするよりもポジティブに進もうではないか。すべての人々の愛を信頼する」

 「ダルビッシュ(アラビア語ではダルウィーシュ)」はイスラム神秘主義の修道僧のことだが、やはり愛や寛容を重んじたイスラム神秘主義詩人ルーミー(1207~73年)の情感のようだ。


阪神湯浅投手と https://jisin.jp/sport/2187415/


イランの女優 タルラーン・パルヴァーネ ダルビッシュ投手に似ているという人もいますが・・。 https://www.pinterest.jp/pin/683562049696551705/

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