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消費増税の油断

次の消費増税まであと8ヶ月を切りました。前回14年4月の消費増税は消費者物価を2%ほど押し上げましたが、政府・日銀の試算によると、今回は実質0.4%の押し上げ幅だそうです。元々の増税幅が前回よりも1%ポイント低いのに加えて、軽減税率と幼児教育無償化が押し上げ幅を縮めている模様です。

2020年度からは高等教育の無償化も実施されて、物価の押し上げ幅は更に縮小します。日銀によると、年度ベースでみた物価の実質押し上げ幅は19年度0.2%、20年度0.1%まで縮まるとの事で、だったら別に消費増税を除く物価という考え方は要らないね、と日銀は判断したようです。事実上、消費増税は無くなったと判断したのでしょうか。

とはいえ、過去2回の消費増税の前にも「対策は万全」「景気は腰折れせず」と言いながら、増税後に景気は相当悪化しましたから、信用する人は少ないかもしれません。信用されなければ消費は前倒しされ、その後に手控えられます。

前回14年4月には、消費増税の直後から公共投資が減らされました(トップ画像を参照)。また本来は消費増税の対象外であるはずの診療代なども値上げされました。こうした目立たない財政引き締めが、19年10月にも実施されないとは限りません。おそらく実施されるでしょう。政府には財政健全化というもう1つの使命があるからです。

それで景気が悪くなれば、日銀が金融緩和をすればいいじゃないか、と政府は考えるかもしれません。私も緩和はすべきだと思います。ただ問題は、緩和しても効果は遅れて出てくるので消費増税前にやらないと意味がないという事と、現在の金融政策の枠組みで追加緩和をすると民間銀行がすぐに悲鳴を上げるという事、そして物価目標2%の実現が後回しになるという事でしょう。そんな事は許されない、と前日銀副総裁の岩田氏がお怒りです。こういう日銀にツケを回すようなやり口を、岩田氏以外の現役の日銀ボードメンバーは、果たして受け入れる事ができるのでしょうか。



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