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銃声が鳴った後も、小麦は高いでしょう

ロシアのウクライナ侵攻で株価は大暴落!?とはなりませんでした。2/25(金)の株式相場は、世界的に反発しています。

株式相場には「噂で買って事実で売れ」という格言があります。国際紛争の場合はその逆で、戦争が起きる前まで株式相場は下げて、実際に開戦すると株価が上がるというパターンです。それにも相場の格言にあることを日経電子版で知りました。お恥ずかしい限りです。

さて、株式相場は反発しましたが、商品相場はどうでしょう。例えば、小麦はロシアとウクライナで世界の貿易量の4分の1を占めており、一連のウクライナ危機で小麦相場は上昇していましたが、2/25には急落した模様です。

私は、ウクライナ危機が仮に終息した後も、小麦などの穀物相場は上昇を続けるような気がします。その理由は、以前に本欄で指摘したラニーニャ現象の影響もありますが、もっと大きな理由があります。ドル高です。

米国の中央銀行(FRB)は、深刻なインフレに対処するべく、3月から政策金利の引き上げを開始します。現在の高インフレ率を踏まえると、利上げは今後も長く続くことでしょう。将来のドル金利の上昇を織り込む形で、外国為替市場ではドル高が進むとみられます。

米国以外の国にとって、ドル高は自国通貨の下落を意味します。自国通貨が安くなると、輸出品の採算は向上しますが、同時に輸入品の価格が値上がりします。

穀物などの資源を生産・輸出する国は、資源を生産するための肥料や機械を他国からの輸入に依存しています。それ以外の様々な消費財も、資源国の多くは他国から輸入しています。ドル高=自国通貨安によって、それらの輸入品は一斉に値上がりしてしまうのです。資源国の人々が実質的に豊かになるためには、輸入品の価格上昇を超える「輸出品の値上げ」を打ち出す必要があるわけです。

どんな商品の価格も、最終的には、需要と供給のバランスで決まります。供給側の資源輸出国としては、前述の通り、値上げせざるを得ない事情があります。一方、需要に関しては、ロシアとウクライナのもめ事のせいで主要先進国の需要が減るわけではありませんし、新興国も輸出品である各種資源の価格上昇で所得が増えますから、需要も増える方向です。需要が増えるなら供給側も値上げがしやすくなります。

そんなわけで米国が、利上げ&ドル高スタンスを維持する限り、穀物など資源価格は上昇傾向を辿る、というのが私の見方です。資源のほとんどを輸入に頼る日本には全くもって良くない話です。幸い日本では人手が足りませんから、賃上げ交渉は労働者に有利です。経営者に頑張ってもらいましょう。




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