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CAD独学初心者がコンペで優秀賞を取った話

最後にnoteを書いたのが2年前という事実に驚き。
死ぬほど長いです。暇すぎて死にそうな方は生きるために読んでください。

タイトルにある通り、優秀賞をいただきました。ありがたや!
何のコンペかというと3Dプリント自助具デザインコンテストです。
8/31〆切でコロナで寝込んでいる時に
一次審査通過のお知らせが届いた。
そして最終選考が10/28一昨日でした。オンラインでプレゼン。
制限時間は5分。その後、質疑応答5分。

5分??????????
スパゲティでも茹で時間7分かかるのに?????


ちなみにワタクシの本業はフォトグラファーです。
これまでビジコンや学会などイベント撮影で
プレゼンはわんさか撮ってきたし見てきた。

だがしかしだ。
撮るのと自分がやるのは全くの別物。

というかコンペでプレゼンなんて人生初なのだが??????


納品作業の合間、完徹しながらスライド作って
台本作っておまけにコンペに慣れてる友人を巻き込んで
当日を想定してオンラインプレゼンの練習もやった。
前日の練習は目も当てられないレベルのボロッボロで
8分かかるし動画は上手く流せないし
声のテンションは低いし硬いし
もっと前もって練習しておけよ!と自分に苛立った。
だが友人たちの「普段のミヨさんらしくいけ」という言葉で
スイッチが入り、台本を一気に書き直した。
その後一人で練習して安定して5分を切れるようになったところで
あつ森を開き(寝ろよ)30分ほどプレイしたらへんで寝落ち。
青バラ咲かせたんですよ。も〜何ヶ月かかったことやら!

そして当日、自分の順番まで全く落ち着かず
ずっと部屋の中でソワソワしまくって
(とてもじゃないが待ち時間に納品作業するような余裕はなかった)
トイレに何度も行ってお気に入りの紅茶じゃばじゃば飲んで
友達にLINEして呼ばれる5分前にまたトイレ行って(紅茶のせいでは
友人たちからも「とにかく楽しんで!!」と言われたことを思い出し

5分間ひたすら作った時のことを思い出しながら
めっちゃ笑顔でプレゼンした


そしたら当日は無事5分以内に収まった。
もちろんこれまでの制作過程をかなり端折ったので
実際に話したかったことの100%は伝えきれていない。
だからnoteに改めて綴ろうと思った。

ここまでの909文字が前置きです。
画面を閉じるなら今だ!

まず、優秀賞とったって何を作って取ったんや?というところ。
私の友人、はるなちゃんはギターやドラムを演奏しているのですが
右上肢に障害があります。どうやって演奏していたかというと


はるなとギター

こんな感じでぐちゃっとガムテープを巻き付けてできた
トゲ?の部分を使って演奏していたわけです。
ドラムはリストバンドをつけていて
そこにスティックを挟んで叩いていた。

彼女のSNSで演奏している動画を見て
3Dプリントで何か作れるんじゃないかろうか、と思っていた。
だがしかし、ガムテ作戦ははるなちゃんが考えてやり始めたこと。
私が介入するのはお節介では?というかアイディアに対して失礼では?と
自分から作ろうか?と言い出せなかった。

でもひょんなことから(本当にどんな会話の流れだったか思い出せん)
「作ってほしい!」という流れになり二人三脚での制作がはじまった。
この時、2022年3月頃。
これまでガムテ作戦で困っていた話を聞くと

  • トゲの部分が毎回ランダムなので同じ感覚で弾き続けられない

  • エレキギターを立って弾くことができず、ライブでは座奏だった


エレキギター立奏出来るようにしよう、そしてステージで暴れてほしい

(脳内に流れる地上の星)


タイトルにあるように私はCADを独学していてまだ数ヶ月だった。
周りはライノセラスを使っていてFusionを使っていた私は
YouTubeでひたすら独学の日々。
そもそもFusionの操作とか機能自体さほど解ってなかった。
自分のスキルの低さも言い出しにくかった理由のひとつでもある。
子供の頃から色んな楽器に触れてきた私は
素人レベルだがギターを弾く経験もあったし
何より「楽器演奏楽しいよね!!!!!!」という気持ちがあった。
素人レベルの経験値だがそれでも活かせられるのでは、と思った。

そして出来た記念すべき初号機

本体からぴょろっと出ている部分をピックアームと命名

色味はかわいい。だがしかし、これを腕に通すと
ガムテの芯っぽくみえて舞台スタッフさんが連想される。
無意識にガムテープへのリスペクト。

そして私の最初の目標、
「腕に通せる」「折れずに弾ける」は無事にクリアした。
とはいえど、まだ立奏するには至らず。
ピックアームが短すぎたので長さ出しをしようということになった。
あと筒状だと少し装着しづらいし、隙間があれば他の人も付けれるかも?
ということで改良したのがこちら2号機

2号機と書いたものの、エヴァだったら1号機だ。
とりあえずそこはスルーしてもろて。
装着しやすくするためにフレーム型にしてみた。
そしてピックアームも長さ出しをしたが惜しくもまだ足りず。
そこで改良した3号機

もしかするとXでご覧になった方もいるかもしれない。
3号機ではるなちゃん人生初の立奏ができたのだ。
ちなみに10万回再生され、インプレッションは46万。
23区でいうと大体葛飾区の人口。
葛飾区のみなさーん、タイムラインに流れましたかー!

やったぜー!と喜んだのも束の間、

ばちぼこに大破した。
いや〜2号機らへんでちょっと頼りないな〜とは思ってたんですよ、私も。
だって初心者だもん、強度わかるわけないじゃん。
テンション上がって崩壊。ギタリストらしくていいじゃないの。
いやいや、演奏中に壊れてどうするねん。
そこから強度を上げ、ピックアームも折れてしまうのであれば
折れた時に「アンパンマン、新しい顔よー!!」ばりに
交換できるようにすればいいのでは?と分離させてみた。

今までボディと一体型にしていたのだが
3Dプリントの知識のある方ならご存じでしょう。
積層の方向によって強度が変わってくるのだ。
なので分離させた方がボディにもピックアームにも
最適な積層方向でプリントできる。
これも3Dプリントに詳しい友人に「折れましてん・・・」と見せ
「積層っすね」とのアンサーにより知った。
いや〜〜独学マジで日進月歩!!
分離したのがこちら4号機

分離してみたものの、ピックアームを差し込む穴、アームホールが
貫通するタイプじゃなかったので折れて詰まった時どうやって出すんだ?
ということに気づき、ここは貫通させようと改良することに。
そして制作自体が結構ゆっくりのんびりだったので
この時点で既に1年ぐらい経っていた。
他のCADも描くようになり、Fusionとの距離も縮まり
「友人」レベルにはなっていた。

ここまで「とにかく機能するもの」に重点を置いていて
身につけるデザイン性は二の次だった。

何より、はるなちゃんから「すいませ〜ん」と言わせたくなかった。
「作ってもらっている」と思わせたくなかった。
腕に通すものといえばブレスレットやバングル。
じゃあ私も身につけたいと思うデザインにしようじゃないかと
大変身を遂げたのが5号機

色も形も可愛いだろ〜〜!!!!!
デュアルカラーのフィラメントを発見し
ライブ映えしそうだし、ていうか色が可愛い。
そしてアームホールの部分なしバージョンのバングルを自分用に作った。

ちなみにアームホール付きも穴の部分に薄手のスカーフとか通せるので
そのままでもアクセサリー使いできそう。

有難いことに友人やはるなちゃんから「可愛い!」と評判で
このバングル試作品、お揃いが6人くらいいる。
幾何学模様とか幾何学的なビジュアルが大好きなので
(余談だが基板がものすごく好き。あとネジとかナットとか。)
自ずとこういうデザインになった。
あとフィボナッチも好きで微妙にそっちの比率に寄せにいった。
完全ではないのだけど。

それでや、ピックアームも変わりましてな。

市販されているピックを挟む隙間・角度、ここのマイナーチェンジは
3回くらいやったんじゃなかろうか。あと長さも。
隙間はあらかじめつけるピックに合わせているのだが
角度が本当に難儀だった。
一次審査の締切日まで8月は毎週スタジオに入り、
ここは3cm〜!!とかあと5°くらい?!を繰り返した。
なお、この時点でギターストラップを結構短めにする方が
安定して弾けるということがわかり、
今までのピックアームほど長さがいらなくなった。
↑の写真でも一応弾けるのだが
弦を下から上に弾くアップピッキングがしづらかった。
それもあり角度が本当にポイントだなと。

ちなみにはるなちゃんはドラムも演奏するので
アームホールにスティック刺したれーと改良してみた。

ドラムは今回初の試みだったので今後も課題がでてきそう。
抜けないしがっちり止まってはいないけど、遊びがもう少しほしい。
これまでPLAで作ってきたがTPUもやろうとして買ったものの
「詰まった」という記事を見つけて
締切までにうちのAnycubic壊れたら困る・・・と挑戦できなかった。
チューブ交換は自力でやったことあるけど
古い子なのでそろそろパーツが手に入らなくなりそうで。
というか既に不調なので新しいのが欲しい・・・

そして絶妙な角度を発見した最新版で演奏したのがこちら。


弦を一本ずつ弾きやすくなったので今後はベースもいけるかもしれない。
そしてこの動画を撮った時、コンペ締切日だった。
夏休みの宿題は順序立ててやってた時もあったのにな。
本業が忙しかったという言い訳をさせていただこう。

そしてはるなちゃん、
私の大好きなthe pillowsのFunny Bunnyを歌ってくれたのだ。

別に御涙頂戴な意図はないけど涙腺崩壊しかけたよね!!!
うぉーーーー!!!!嬉しいやないかー!!!!!
練習してるって聞いてたけどぉー!!!!!!!
この曲は自分が辛い時によく聴いている。

ピックアームとボディを分割したことにより
3Dプリントあるある収縮率の影響で
ピックアームがアームホールに入らないということが何度も。
テストピースを作ったり記録を書き込んだり。
人生で初めてデジタルノギスを買った。

ピック自体も3Dプリントで作っていたが、
しなり具合が市販品と全然違うので自作しないことにした。
今回見つけた絶妙な角度もはるなちゃん自身にあった角度かもしれない。
他の方だとどうなるんだろう・・・
同じモデルの量産は難しいと思っている。
せめて本体はSサイズ、Mサイズ、みたいな展開できる構造にしたい。
はるなちゃんから3Dプリントはひとりひとりに合わせて
カスタムできるのがいいと聞いて本当にそうだなと。
もちろん、CADを描くのは時間がかかる。
でも音楽を諦めてしまった人がいるなら届けたい。
そしてその人の選択肢になったら嬉しい。

うっかり忘れていた、この作品の名前。
SoundBuddyです。
当初、Pick Supportという名前で制作していたが
最終的にドラムも演奏できることになり
名前を変えねば・・・でも何にしよう・・・と
〆切1週間前からずっと悩んでいた。
色んな英単語を調べ(外国人にも知ってもらいたいから)
SupportではなくBuddy = 相棒を選んだ。
はるなちゃんから「これがないともう弾けない〜!」と言われ
彼女にとっての相棒だなと。

ふぁ〜〜〜〜ここまで書くのに1時間半。

CAD初心者の私がコンペに挑戦とか
そもそも本職デザイナーじゃない私が
「デザイン」コンテストて????
ハードル高すぎなのでは???と思ったけど
他の人の作品を見れたり、
質疑応答で激アツな感想やアイディアを頂けて
とてもいい経験でした。
参加して本当に良かったー!!!
結果報告をした友人もみんな喜んでくれて
とりあえず焼肉行くことになった。

Funny Bunnyのサビに
「キミの夢が叶うのは誰かのおかげじゃないぜ
 風の強い日を選んで走ってきた」というフレーズがある。
私からはるなちゃんへのメッセージでもあった。
はるなちゃんが立奏できたのは
二人三脚での制作をずっと続けてきてくれたからだ。
私が叶えたわけじゃない。

音楽のみならず、文化的な活動は人の心を豊かにする。
むしろ「生活必需品」なんじゃないかと思っている。
今後も二人三脚で改良し、楽器演奏が好きな人に
寄り添えるものを作り続ける。

「出来ない」を「出来る」へ。


ここまでの長文、お付き合い頂き有難うございます。
寝ます。

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