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素朴な疑問から、お菓子のいただき方を考えてみた

先日のお茶のお稽古でご一緒していた方が言った一言がこちら。
「左から切るんですね」

茶会はもちろん、普段のお稽古でも、さまざまな和菓子が出されます。
それを自分の懐紙(二つ折りの和紙)にとって、楊枝でいただくのですが、お饅頭にしても羊羹にしても一口で食べるには大き過ぎます。
なので、楊枝で食べやすい大きさに切っていただきます。
彼女が言っているのは、懐紙にとったお菓子を切る時に、右から切るか左から切るか、ということのようです。

…正直考えたこともありませんでした。
この素朴な疑問に、改めてお菓子のいただき方について考えてみました。

右から切るか左から切るか

言われて思い返してみると、普段は右から切っている、ように思います。
あえて理由を考えるとすると、ただ単に私が右利きだから。
右側から切ると、そのまま右から楊枝を刺せますが、左側からだと残った右側のお菓子が邪魔になるような気がします。

では、今回はなぜ左から切ったのか。
たまたまということも考えられますが…今回のお菓子は生八ツ橋でした。
皆さん一度は食べたことがあると思います。
元祖京都土産と言えばこれ!という感じですよね。
米粉を使ったもっちりした食感が特徴ですが…楊枝では切りにくいんです。
懐紙を左手の上にのせて食べるので、右に行くほど指先に近くなります。
指先より手のひらの上のほうが安定するのは当たり前。
なので、無意識のうちに(もしくは過去の経験から?)安定感のある左から切った、のではないかと。

結局、左右どちらから切るのが正解なのか。
「どっちからでも好きに食べたらええんちゃうん」という声が聞こえてきそうですが、まさにその通り。
少なくとも私は左右どちらから切らないといけないと聞いたことはありませんし、注意されたこともありません。
どちらからでもいいと思います。

適度な大きさに切る

お菓子の切り方で気を付けていることがあるとすれば、適度な大きさに切るということ。

食べ終わった後もきれいに

どちらから切ってもいいように、切る大きさも自由なのですが、私は比較的大きめに切っています。
細かく切ると、お饅頭の皮や中の餡がポロポロこぼれてしまい、懐紙の上が汚なくなったり、膝や畳の上に落ちてしまったりすることもあります。
食べ終わった後も、なるべくきれいな状態にしたいと思うので、適度な大きさに切るようにしています。

タイミングを合わせる

そして、大きめに切るもう一つの理由が、小さく切ると食べるのに時間がかかるということ。
茶道に馴染みのない方はご存知ないかも知れませんが、茶席では先にお菓子を食べ、その後お茶をいただきます。
なので、まだお客様がお菓子を食べているのに、お茶を出してしまうと、せっかくのお茶が冷めてしまいます。

普段のお稽古でも、例えば食べにくいお菓子で手間取っていたり、先生のお話を聞いていて手が止まっていたりすると、少し所作をゆっくりにしてタイミングよくお茶を出せるように調節します。
逆に自分が客の立場なら、亭主(点前をする人)を待たせることがないように、味わいつつも速やかに食べることを心掛けています。
そのためには、適度な大きさに切るということになります。

まとめ

色々小難しいことを書きましたが、これはあくまでもお稽古でのことです。
前にも何かの記事で書きましたが、茶道でもっとも大事なのはお客様に楽しんで寛いでいただくこと。
お菓子やお話に夢中で時間がかかったとしても、亭主がそれを不快に思うことはありません。
なので、客としていただく時は、自分のペースで味わっていいと思います。

それにしても、私も普段のお稽古で、勉強させていただこうと他の方の点前や所作をじっくり見ていますが、お菓子の切り方まで気にしたことはありませんでした。
子どものなぜなぜ期のように、習い始めの方の素朴な疑問は思いもよらない角度から攻めてきますね💦
向上心と探究心、長く続けていると忘れがちなものを思い出させてくれたお稽古でした。

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